運輸通信省、カボタージュ制度の緩和でテスト輸送計画を発表

(ペルー)

リマ発

2019年09月20日

ペルー運輸通信省(MTC)は9月12日、ペルー沿岸における人と物の港間輸送の促進を目的として2018年9月13日に施行された、カボタージュ(内航)制度の緩和法令(立法令1413号)を活用した、農産品の内航輸送のパイロット計画を実施すると発表した。MTCのフェルナンド・セルナ・チョーレス総合運送政策規制局長によると、同省は2019年9月末に、ペルー北部のピウラ州パイタ港からリマ市カジャオ港までの生鮮ブドウのテスト輸送を、10月には南部アレキパ州のマタラニ港からカジャオ港までのタマネギのテスト輸送を実施するという。

ペルー輸出事業者協会(ADEX)からは「現在の国内輸送コスト(陸路・空路)の10%が削減可能で、国内主要幹線の渋滞緩和をもたらすだろう」との声が上がっている。また、ペルー貿易協会(COMEXPERU)からも「沿岸航海のコストは陸路輸送コストの75%程度になることが見込まれ、2,000キロ以上の長距離輸送の場合は50%程度にまで達するだろう」などといったコメントが発表され、そのインパクトの大きさを物語っている。

セルナ局長によると、既存のカボタージュ制度を利用している船には、石油製品を主流とする液体バルク輸送船が最も多く(12隻)、その他ガス輸送船(4隻)、化学品輸送船(2隻)、コンテナ船(2隻)、客輸送フェリー(1隻)の合計21隻のみが操業しているという。そのため、今後のペルーの対外貿易の効率化を図る上でも、さらなるカボタージュ制度の緩和が欠かせないという。

立法令1413号は2018年9月に施行されたが、その具体的な運用ルールが定められていなかったため、長らく活用されてこなかった。しかし、2019年8月5日に施行された大統領令029-2019-MTC号により、新たなルール(定義、運用許可、船舶安全条件証明書、証明書の変更・停止・中止、運用詳細など)が定められ、活用に向けた動きが加速化したとみられる。

外国籍の船舶にも、国内港間の人や物の輸送が許可されるなど、旧法令と比較すると、内航海運業への参入条件が緩和された。新法令の主な変更点は表を参照。

表 新旧法令の対照表

(設楽隆裕)

(ペルー)

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