北京で世界ロボット大会が開催、AIなど新興技術との融合に注目

(中国)

北京発

2019年09月09日

北京市政府、工業情報化部、中国科学技術協会が主催する「2019年世界ロボット大会」が8月20~25日に北京市で開催された。ロボット分野の企業約180社が、大会に併せて開催された博覧会に出展した。主催者発表によると、開催期間中の契約金額は約100億元(約1,500億円、1元=約15円)に達した。

また、併催された世界ロボットコンテストには、世界20カ国・地域以上から4,500人超が出場し、技を競った。同コンテストは「ロボット界の五輪」と呼ばれており、2019年は4部門に分かれて行われた。

そのうち、BCI(注)脳制御ロボットコンテストでは、脳波を受信してアルファベットを入力するロボットが注目を集めた。さらに、大会期間中には6つのメインフォーラムと20以上の専門フォーラムが開催された(「北京日報」8月26日)。

大会で発表された「中国ロボット産業発展報告2019(以下、発展報告)」によると、2019年の中国のロボット産業市場は86億8,000万ドル規模になる見通し。うち、産業用ロボットが57億3,100万ドル、サービスロボットが22億ドル、特殊ロボットが7億5,000万ドルとなっている。

大会のメインフォーラムに出席し、基調報告を行った工業情報化部の辛国斌副部長は、中国の産業用ロボット市場の発展について「2018年下半期から産業用ロボットの生産量の伸びが鈍化し、産業調整の段階に入った」と指摘した。

中国ロボット産業連盟によれば、2018年の中国の産業用ロボットの生産量は前年比3.8%減の13万5,000台と、それまでの5年連続の増加から減少に転じた。これについて、辛副部長は「産業用ロボットを多数使用している自動車、電子産業などの不振、貿易環境の悪化および経済の低成長などが要因だった」と分析した。

発展報告によれば、中国の産業用ロボットについて、自動車など伝統的な優位市場が縮小している中で、新興市場はまだ形成されていない状態にある。一方で、サービスロボットおよび特殊ロボットの市場シェアは拡大しており、ロボットの国産化も進んでいる。

辛副部長は、中国のロボット産業の発展の方向性は「新しい応用分野の開拓、品質と効率の向上を主な課題としつつ、人工知能(AI)、5G(第5世代移動通信システム)、工業インターネットなど新興技術および分野と融合させ、潜在能力を引き出すことにある」との見方を示した(「財新網」8月22日)。

(注)「Brain Machine Interface」の略で、人の脳波などの生体情報を活用して操作を行う機器。

(趙薇)

(中国)

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