デジタル・ヘルス分野の動きがイスラエルで活発に

(イスラエル)

テルアビブ発

2019年09月05日

イスラエルでは、デジタル・ヘルス分野の活動が盛んだ。イスラエルのスタートアップ企業データベース、スタートアップ・ネーション・セントラル(Start-Up Nation Central)には、約530社のデジタル・ヘルス関連企業が登録されている。近年、デジタル・ヘルス分野のスタートアップ企業に対する投資が好調で、2018年は68件に5億2,700万ドルの投資が行われた。2019年の8月末時点では、33件に3億7,300万ドルが投資されており、セキュリティー分野(38件、10億ドル)、フィンテック分野(30件、6億3,700万ドル)に次いで、多くの投資を集めている。

デジタル・ヘルスの一例としては、2012年に設立されたスタートアップ企業メドアウェア(MedAware外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が、人工知能(AI)を用いて、医師の処方エラーを防止するシステムを開発している。

同社によれば、イスラエルでは年間約8,000万枚の処方箋が発行されているが、この0.5%に当たる約40万枚には、患者の生死にかかわるエラー(薬のプルダウンメニューからの選択ミス、患者の取り違えなど)が含まれているそうだ。

同社が開発したシステムは、最新の研究で、40万枚の半数に当たる20万枚のエラーを防止するのに役立つとされ、イスラエル最大のシバ病院のほか、アスータ・アシュドット病院にも導入されている。イスラエルのニュースサイト「Yネット」によると、今後、イスラエルで2番目に加入者の多い健康維持機構(HMO:Health Maintenance Organization)(注)であるマカビ・ヘルスケア(Maccabi Healthcare)へも導入される予定。

イスラエル最大のHMOのクラリットには、457万人とイスラエル総人口の54%が加入している。以下、マカビ(231万人、26%)、メウヒデット(122万人、12%)、レウミット(71万人、8%)と続く。イスラエルは国民皆保険制度の下、個人の医療データが出生時から蓄積されており、こうしたビッグデータをAIや機械学習で処理し、医療・健康・介護などに活用するデジタル・ヘルス分野の活動が活発だ。

(注)非政府、非営利の健康保険組織で、加入者に対し、傘下の医療機関で基本的な医療サービスを提供する。

(荏原昌)

(イスラエル)

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