タイの青果物新規制が本格始動、日本側の態勢整備は急務

(タイ)

バンコク発

2019年09月06日

青果物の選果・梱包(こんぽう)施設の衛生管理を求める規制が8月25日から、タイで本格施行された(2018年11月29日記事参照)。本規制は、タイ国内で生産された青果物に加え、タイへ輸入される青果物にも適用されるものとなっている。本格施行に先駆け、7月にはタイ国内事業者向けのマニュアル(日本語仮訳PDFファイル(2.1MB)、注1)、8月には輸入時に必要となる規格や証明書の具体例が、政府ウェブサイト(注2)で公開された。

本格施行に向けて、日本政府とタイ政府との交渉の結果、日本からの輸出に関しては、2017年時点でタイ政府が関連通知において規定していたISO22000などの規格の適合証明書に加え、JFS規格(B規格、C規格、タイ向け青果物前処理規格)、グローバルGAP、アジアGAP、JGAPといった規格の適合証明書も使用できることとなったほか、国・都道府県庁が発行する証明書も認められることとなった。ISO22000やグローバルGAPなどの規格を取得している日本の選果・梱包施設は非常に少なく、一部の府県庁は7月以降、検査・衛生証明書を発行し、当該証明書を使用したタイへの輸入も順次、行われている。また、農林水産省でも、地方農政局などによる衛生証明書の発行について、9月25日までの期間限定で、希望者の応募を受け付けることとした(注3)。

タイへ青果物を輸入する事業者は、輸入通関の担当官の求めがあった際、規格の適合証明書や行政機関の衛生証明書の写しを見せる必要がある。同一施設・輸入事業者が複数回輸入することを想定し、証明書の写しについては担当官から、その都度、返却される。

近年、日本産青果物のタイにおける市場が拡大しており、2018年の日本のタイ向け青果物の輸出額は前年比43.1%増の13億円で、2019年も伸びが期待されている。一方、規制対応済みの日本の選別・梱包施設の確保にいまだ苦慮している在タイの輸入卸業者は少なくない。12月からは年末のギフト商戦も始まるだけに、日本側の対応が急務となっている。

(注1)タイ政府によるマニュアル情報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(タイ語)。

(注2)タイ政府による関連情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび規格・証明書一覧PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(注3)農林水産省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(福田かおる、ウォンパタラクン・ヤーダー)

(タイ)

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