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北部ドイツで水素技術応用の取り組み進む

(ドイツ)

ベルリン発

2019年09月10日

ドイツの再生可能エネルギー・クラスター・ハンブルク(EEHH、北部ドイツの業界団体)と、洋上風力発電財団(SOW、ドイツ連邦環境省傘下の団体)は8月26日、ニーダーザクセン州ククスハーフェンで専門家会議「グリーン水素と洋上風力エネルギー」を開催し、政治、経済、メディア関係者ら200人が参加した。北部ドイツ5州(ニーダーザクセン州、ブレーメン州、ハンブルク州、シュレスビヒ・ホルシュタイン州、メクレンブルク・フォアポメルン州)は長年、洋上風力発電の共同事業を行っており、4月には共同水素燃料戦略を策定している。

北東ドイツ地域には現在、風力発電施設が13カ所あり、発電容量は4,800メガワット(MW)、年間の発電量は約17.5テラワット時に上る。これはドイツ全体の電力需要量の約3%、風力発電全量の約15%に相当する。ドイツ北部の各州は工業生産の分野でグリーン水素(注)と洋上風力発電を多方面で応用するプロジェクトを推進するため、連邦政府による障壁削減や環境整備を期待している。

専門家会議に出席した連邦交通デジタルインフラ省のエナク・フェルレマン政務次官は、水素技術を活用したエネルギー転換は北部ドイツの風力発電事業者にとり大きなチャンスだと述べた。風力発電事業者はこれまで送電線に依存しているが、北海とバルト海に電力をグリーンエネルギーに変換するための人工島を造ることで、船舶や工場、自動車への水素燃料の供給が可能になるという。

ハンブルク州の経済・運輸・イノベーション担当上院議員のミヒャエル・ベストハーゲマン氏によると、水素自動車については日本と韓国が先駆者であり、日本では2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、水素を使用したインフラ整備が進められている。しかし、エネルギー戦略の転換で水素技術の汎用(はんよう)化の先駆者となるには、水素技術そのもの、広大な土地、事業者が必要条件であり、その全てが北部ドイツの各州には備わっているという。

ニーダーザクセン州のオラフ・リース環境エネルギー相は、北部ドイツが推進する水素経済の構築は地域に新規事業や雇用の創出をもたらし、CO2排出削減目標の実現達成に欠かせない取り組みだ発言した。また、グリーン水素燃料技術の実装は急務であり、将来的に水素燃料を用いた燃料電池自動車を導入し、利用者の便宜を図るための水素ステーション設置をドイツ全土に整備する必要があるとした。

先行事例としては、2018年9月から、フランスのアルストムが開発した世界初の水素動力列車「コラディアアイリント(Coradia iLint)」がニーダーザクセン州ククスハーフェン~ブクステフーデ間で商用運行しており、1月からはドイツ6州(ラインラント・プファルツ州、バーデン・ビュルテンベルク州、ザクセン州, チューリンゲン州、ブランデンブルグ州、ベルリン州)にまたがる試用運行が行われている。

また、産業界には、CO2排出量が多いとされる鉄鋼やエネルギー関連の大企業3社(ザルツギッター:鉄鋼、アバコン:系統運用事業者、リンデ:産業ガス)による「ザルツギッター水素」プロジェクトがある。

ドイツ国内の各州、および多岐にわたる産業によるイニシアチブやプロジェクトは多数あり、連邦政府への要望が高まりつつある中、フェルレマン政務次官よると、2019年末に連邦政府の水素燃料戦略が発表される見込みだという。グリーン水素の応用の拡大に当たっては、規制や運用の整備への早急な対応が求められている。

(注)再生可能エネルギーを利用して、水の電気分解により水素を生成すること。

(マリナ・リースラント、佐藤由美子、中村容子)

(ドイツ)

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