外国人向けアイカード(i-KAD)の発給を停止

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年09月12日

マレーシアの入国管理局外国人サービス部門(ESD)は7月17日、雇用パス(EP)などの長期滞在ビザを持つ外国人が取得できる身分証明書〔アイカード(i-KAD)〕の発給を即日取りやめることを発表した。

アイカード:日常生活での身分証明証

アイカードは、任意かつ有料で取得するもので、パスポート番号、ビザの有効期限、勤務先などが記載されており、身分証明が可能だ。なお、アイカードはパスポートの代わりにはならない。マレーシア国内の移動で飛行機を利用する際などは、アイカードのみでは搭乗できず、必ずパスポートの提示が必要となる。しかし、日常生活での身分証明証としては十分なため、アイカードを取得する外国人は多い。

マレーシアでは、クアラルンプール市内を中心に外国人がひったくりなどの被害に遭うケースも発生しているため、日系企業はアイカードの発給停止に伴い、身分証明証として、駐在員がパスポートを常に携帯しなければならなくなることを懸念する声も聞かれている。

外国発行の運転免許証書き換えも停止

また、2018年9月24日からは、外国で発行された運転免許証から、マレーシアの運転免許証への書き換えも停止されている(注)。現在、外国人がマレーシアで運転するためには、国際免許証を取得し、かつ、自国発行の免許証原本も常に携帯する必要がある。日本の場合、国際免許証の期限は1年間で、日本でのみの発行となる。マレーシアでは、公共交通機関が発達してきたものの、依然として車での移動が主流となっており、通勤などで毎日、車を使う外国人にとっては手続きなどの煩雑さが増している。2018年9月以前に運転免許証の書き換えを行っている場合、更新は可能だという。

再開の見込み立たず

アイカードの発給が停止された理由は公表されていないが、運転免許証については、自国で運転免許証を持っていない外国人に対して不正に書き換えを行い発行した免許証が多数見つかったことが背景にある。ともに、2019年9月時点で再開の見込みは立っていない。

(注)運転免許証の書き換えは、外交官およびシンガポールの運転免許証のみ、対象外となっている。

(田中麻理)

(マレーシア)

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