アンドラ・プラデシュ州、現地雇用義務付けの新州法を公布

(インド)

チェンナイ発

2019年09月04日

インド南部アンドラ・プラデシュ(AP)州政府は8月22日、州内の工場などに対し、雇用の75%以上を「州内の居住者(Local candidate)」とすることを義務付ける新州法(The Andhra Pradesh Employment of Local Candidates in the Industries/Factories Act, 2019)を公布した。7月22日に州下院に提出されて24日に通過、29日に州上院で可決されていた。

日系企業が集積するAP州最南端のスリ・シティ工業団地では、AP州だけでなく隣接するタミル・ナドゥ州などからも人材を確保している企業が多い。今回の州法が厳格に運用されれば、AP州進出企業のみならず、今後の企業誘致にも影響が出るものとみられる。

同州法では、州内の工場などは公布日から3年以内に上記条件を満たすこととされている(注)。既設および今後設立される工場などが対象となる。適した人材がいない場合でも、州政府と協力し、教育・雇用するための策を講じなければならない。州内から雇用ができない場合には、同州法の規定に基づき同条項の適用免除を申し出ることができる。これに対し、州政府は「調査の上、適切な指示をするものとする」としているが、実際に免除が認められるかどうかは不透明だ。同州法の実際の運用や「州内の居住者」に関する条件、雇用義務を守れなかった場合の罰則などについては、今後定められる施行規則に規定される見込みだ。

AP州では、4月から5月にかけて行われた州議会選挙の結果、これまで投資誘致や産業振興を推進してきたナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ前州首相が率いる与党テルグ・デーサム党が、野党だったYSRコングレス(YSRCP)に敗れ、政権交代が起きていた。選挙後新たに就任したYSRCPのY・S・ジャガン・モハン・レッディ州首相は前政権を批判し、主な支持基盤とする農民や社会的弱者層に配慮する姿勢を鮮明にしている。

(注)同州法は、AP州議会を通過した法案としてウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)上で確認できる。

(坂根良平)

(インド)

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