2050年までにCO2排出ゼロとする目標設定を決定

(スイス)

ジュネーブ発

2019年09月13日

スイス連邦参事会(内閣)は8月28日、2050年までに国内の二酸化炭素(CO2)の純排出量をゼロとする(排出量を森林などで吸収される量以下に抑える)目標の設定を決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

スイスは2015年12月のパリ協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、2030年までに温室効果ガスの排出を1990年比で半減することにしており、連邦参事会は2050年までにCO2排出量を70~85%削減するという長期目標を示していた。2018年1月に施行された改正エネルギー法ではこれに沿って、段階的な脱原発や再生可能電力の電源整備、電力市場の自由化、自動車排ガス規制強化などが盛り込まれている。この目標は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えると定めたパリ協定に沿うものだ。しかし、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年10月、地球温暖化による気温上昇が2030~2052年の間が1.5度に達する可能性が高く、生態系に深刻な変化をもたらするため、より早期に純排出ゼロを達成する必要があると警告する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表したことを受けて、連邦参事会が6月、2019年の国連総会に向けた環境関連の取り組みの議論の過程で、2050年までの長期目標を引き上げることを決定、今回のゼロ・エミッションを達成すべきとの結論になった。

連邦参事会はまた、この目標を実現するため、連邦環境事務局(FOEN)が策定する「2050気候戦略」を2020年末までに最終決定するとした。連邦議会では近年、環境問題に関して、連立与党の急進民主党(PLR、右派)が緑の党やリベラル緑の党と連携することも増えており、さらに厳しい環境対策を求められる可能性もある。連邦議会では、輸送分野のCO2排出の18%を占める航空機の利用を抑制するため、チケット1枚当たり30~60スイス・フラン(約3,270~6,540円、1フラン=約109円)と、フランスで2020年から導入される方針の同種の税よりもかなり高額の航空機利用税の導入が検討されているとの報道もある。

(和田恭)

(スイス)

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