中銀が資本取引規制の時限措置導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年09月03日

アルゼンチン中央銀行は9月1日、資本取引規制を導入するコミュニケ(通達)「A」6770号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同日から12月31日までの時限措置で、通貨下落や外貨準備高の減少に歯止めをかけるためのものだ。

具体的には、財・サービス輸出時の決済代金の国内への還流が義務付けられた。例えば、商業庁決議第57/2016号付属書第1表に定められた財(主にコモディティー)の場合は、輸出許可後15日以内、その他の財は180日以内に、国内の金融市場で入金または決済を行わなければならない(第1条)。また、いずれの財・サービス輸出でも、資金回収後は5営業日以内に同様の手続きが求められる(第1条、第4条)。

また、中銀の事前承認を求める内容が増えた。国内で設立された法人などによる外貨購入や海外送金などには、中銀の事前承認が必要となる(第5条)。国内に居住する個人が行える外貨購入や海外送金などは1カ月当たり1万ドルを上限とし、それ以上の場合は中銀の事前承認が必要となる(第6条)。海外旅行者など非居住者の場合は、その金額が1,000ドルに限定される(第7条)。

このほか、8月29日に発表されたコミュニケ「A」6768号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、現地金融機関に対して海外の親会社に配当などを支払う際の事前承認の必要が発表されていたが、今回、その対象が拡大され、その他の法人にも利益・配当金の海外送金には中銀の事前承認が必要となる(第10条)。

エルナン・ラクンサ経済相は1日夜の地元テレビ番組に出演し、「好ましくないものの、市場をさらに悪化させないための手段」として、マクリ政権下では着手してこなかった資本規制に向けた決断を下した背景を説明した。2日の為替市場の終値は、前営業日比で6.56%ペソ高の1ドル=57.00ペソと反発した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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