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ベトナムなど非EU圏からの労働許可枠を3万人に拡大

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年09月12日

ルーマニア政府は8月27日、2019年の非EU加盟国からの新規労働許可枠を3万人まで引き上げると発表した。これは、失業率低下による人材不足対策のため、5月に労働省から提案されたもので、2019年1月に2万人と定めた許可枠を大幅に拡大したかたちだ。

ルーマニアの現在の失業率は4.0%(2019年6月時点)と、EU加盟国内でも低く、ここ数年の急速な経済成長とともに低下傾向にある(図参照)。ルーマニアでは、従来はイタリアやスペインなど同じラテン系の国への季節労働者が多かったが、ここ数年はドイツや英国など所得水準のより高い西欧諸国への移住者が増えている。これを受け、ルーマニア国内では製造業のみならず、建設業、ホテル・レストラン・カフェなどのサービス産業、運送業、造船業、観光業、農業などにおける人材不足が顕在化している。

図 EU加盟28カ国の失業率(2019年4月時点の全国平均)

ルーマニア内務省移民局によると、2018年の非EU加盟国からの労働許可取得者は1万527人だった。国籍別にみると、ベトナム、トルコ、ネパール、中国、スリランカの順に多くなっている。また、2019年上半期は多い順に、ベトナム(2,812人)、モルドバ(1,360人)、スリランカ(1,201人)、ネパール(1,194人)、トルコ(1,181人)、インド(1,040人)という実績が出ている。数年前まで突出していた中国とトルコに代わり、近年は他のアジア諸国から労働者の流入が増えている。このほか、パキスタンからの労働者受け入れについての準備が行われているとの報道もある。

人材不足への対応策として、ルーマニアが近年、急速に関係を深めている国がベトナムだ。当地でのベトナム人労働者受け入れの増加は2017年ごろからで、黒海に近い東部のトゥルチャ県、ブライラ県、コンスタンツァ県などの造船所が、ベトナム人技術者を受け入れ始めている。例えば2017年6月には、トゥルチャ市にあるバルド社(ノルウェー)の造船所が、ベトナム人労働者300人を受け入れている。その後2018年10月には、シュテファン・ラドゥ・オプレア大臣(ビジネス環境・商業・起業省)がベトナムを訪問し、中小企業および投資に関する覚書に署名した。翌11月には、ベトナムのダオ・ゴック・ズン大臣(労働・傷病兵・社会問題省)がルーマニアを訪問し、ルーマニア労働・社会公正省との間で労働者受け入れに関する覚書を結んでいる。なお、2019年6月30日に、EUはベトナムと自由貿易協定(FTA)を締結したが(2019年7月4日記事参照)、折しもルーマニアは欧州理事会議長国の任期最終日で、オプレア大臣がEU代表としてハノイで署名したことは、両国関係の接近を象徴する出来事でもあった。

ルーマニアの人口は約1,940万人(2019年1月時点)で、賃金の高い西欧諸国への移住や少子高齢化により、現在も急速に減少している。非EU加盟国からの労働許可枠は拡大中であるものの、いまだ数十万人から数百万人の不足が生じているとされ、十分とはいえない。人材引き留めのためのポピュリズム(賃上げや減税)ではなく、基礎的なインフラ整備や基幹産業育成が政府に求められている。

(水野桂輔)

(ルーマニア)

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