豪ビザ取得に適した英語試験IELTS、コンピュータ試験が開始

(日本、オーストラリア)

アジア大洋州課

2019年09月03日

IDPエデュケーション(本社:オーストラリア・メルボルン)は8月22日、東京で英語試験「アイエルツ(IELTS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のコンピュータ試験をスタートさせた。同社は、2016年にパートナーと提携して東京で試験を始めたのを皮切りに、大阪市、北九州市でもパートナーと提携し、各地でペーパーベースの試験を実施するなど、日本でのサービスを拡充している。2018年11月には日本法人も設立した。

IELTSは、1989年にIDPエデュケーションと、英国のケンブリッジ大学英語検定機構、国際交流機関ブリティッシュ・カウンシル‎の3団体が共同開発した試験で、140カ国・約1万機関から認定されている。IDPエデュケーション・ジャパンの日本統括責任者である市川智子氏は「日本では英検やTOEICが普及しているが、海外のビザ取得や留学に当たっての証明としては利用できないケースが少なくない。IELTSはオーストラリアをはじめ、さまざまな国で証明として利用できる」と話す。

IELTSでは、英語で必要とされる4技能(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)全てをテストする。試験内容は「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類があり、後者は主に、就労ビザ申請や就職時の英語力証明に採用されている。

例えば、オーストラリアの研修ビザ(407ビザ)を取得する場合、IELTSのスコアで4.5以上が条件となる。TOEFLのスコアも利用できるが、市川氏は「TOEFLは留学向けで出題内容が学術的なのに対し、IELTSジェネラル・トレーニング・モジュールは職場や日常生活で使われる英語を題材とし、移住や就労を目的にする社会人に適している」と説明する。また、コンピュータ試験の開始に伴い、利便性が向上し、「普段、パソコンで英文を作成しているビジネスパーソンが受験しやすくなる」(市川氏)という。

人材育成を目的とした407ビザの利用が進む

オーストラリアや米国のビザ事情に詳しいAOMビザ・コンサルティングの足利弥生・代表取締役は「近年、米国では研修目的で利用するJ1ビザの取得が難しくなっているため、研修先としてオーストラリアが注目されている」と指摘する。同国は英語圏かつ安全で、日本と時差が少ないため、入社5~6年目の若手人材の研修先として見直されている。「将来的に別の国でも駐在員として活躍できる人材を、アジア大洋州地域に位置し、多国籍の人材が居住するオーストラリアで育てたいと考える企業が増えている」と足利氏は語る。

407ビザを使えば、若手人材育成目的にオーストラリアへ最長2年間、派遣することができる。自社の関連企業以外にも派遣が可能で、融通性の高いビザとなっている。407ビザの取得では、就労ビザ(482ビザ)と異なり、適切な英語力があり、「直近2年のうち1年以上、関連業務に従事していれば、年収を問われることなく研修目的の派遣が可能となる」(足利氏)と言う。

(北見創)

(日本、オーストラリア)

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