米オンライン古着店のスレッドアップ、メイシーズなど百貨店で販売開始

(米国)

サンフランシスコ発

2019年09月09日

米国のオンライン古着店のスレッドアップ(ThredUP、本社:サンフランシスコ)が、百貨店のメイシーズとJCペニーの実店舗で販売を行うパートナーシップを結んだことが明らかになった。メイシーズは8月1日から全米40店舗で、JCペニーでは8月12日の週から全米30店舗で、スレッドアップの女性用衣料品を試験的に販売している。

2009年に設立したスレッドアップは、ファストファッションから高級ブランドまで古着を消費者から買い取り、元の小売価格から最大9割引きでオンラインで販売する。取り扱うのは女性用と子供用のみだが、3万5,000ブランド以上をそろえ、新たに届く衣料品の数は1日10万点に上る。各アイテムの価格は同社のこれまでの膨大なデータと独自のアルゴリズムから即時に決定される。同社の配送センターでは、天井まで届くほどの大型自動回転式ラックを用いて、大量の衣料品を処理している。

写真 スレッドアップの配送センター(スレッドアップ提供)

スレッドアップの配送センター(スレッドアップ提供)

スレッドアップは8月21日、シリーズF(注1)での1億7,500万ドルの資金調達を発表し、総資金調達額は3億ドルを超えた。同社の「2019リセールレポート」によると、2018年の中古衣料市場の規模は240億ドルで、5年以内に500億ドルへ拡大し、10年以内にはファストファッション市場の規模を超えてその1.5倍近くになると予測している(注2)。この市場を主に支えるのは、サステナビリティーに関心を持ち、掘り出し物や新しいスタイルを好むミレニアル世代(注3)とZ世代(注4)で、2017年にミレニアル世代の21%とZ世代の26%が中古の衣料品や靴、アクセサリーを購入した(注5)。さらに、2019年にはZ世代の約3人に1人(37%)が中古品を購入すると見込む(注6)。

スレッドアップは、小売店や衣料品ブランド向けプラットフォーム「リセール・アズ・ア・サービス(RAAS)」を立ち上げ、百貨店や他の衣料品ブランドと協業し中古衣料品売買を促進している。今回のメイシーズ、JCペニーとのパートナーシップもRAASの一環だ。オンラインで展開するスレッドアップにとって、百貨店との連携は、長期的な設備投資をせずに実店舗を持つことができるというメリットをもたらす。他方、近年経営難に苦しむメイシーズ、JCペニーは、新しいタイプの商品を提供することで、より多くの顧客を呼び込むことを期待する。

(注1)企業の成長段階に応じた投資ラウンドを指し、A、B、Cの順に段階が進む。

(注2)2028年の市場規模の見込み額は、ファストファッション市場440億ドルに対し、中古衣料市場640億ドル。

(注3)スレッドアップ「2019リセールレポート」での定義は25~37歳。

(注4)同レポートでの定義は18~24歳。

(注5、6)18歳以上の女性2,000人へのアンケート調査結果。

(田中三保子)

(米国)

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