日本の対米投資残高、3年連続で世界3位

(米国)

ニューヨーク発

2019年08月13日

米国商務省経済分析局(BEA)は、2018年の海外から米国への対内直接投資残高を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7月24日)した。それによると、前年比7.9%増の4兆3,446億ドルとなった。2017年(6.9%増)と比べて増加幅は拡大し、2003年以降、16年連続で増加した。

日本の2018年の直接投資残高は2.5%増

2018年の米国に対する直接投資残高を国別(注)にみると、英国が5,972億ドル(前年比2.9%減)と最も多く、次いで、カナダが5,884億ドル(12.3%増)、日本が4,887億ドル(2.5%増)だった(表1参照)。上位3カ国の順位は前年と同じで、日本は3年連続の3位となった。前年比に対する寄与度は、ドイツ(1.7ポイント)が最も大きく、次いで、カナダ(1.6ポイント)、オランダ(1.5ポイント)となった。日本は0.3ポイントと8位だった。

表1 2018年の対米直接投資残高(国別)

業種別にみると、製造業が1兆7,715億ドル(前年比10.2%増)と最も多く、次いで、金融・保険業が5,273億ドル(2.2%減)、卸売業が4,464億ドル(4.9%増)だった(表2参照)。製造業では、化学の8,147億ドルが最高で、輸送機器(1,519億ドル)、機械(987億ドル)が続いた。いずれも上位3業種の順位は前年と同じだった。

表2 2018年の対米直接投資残高(業種別)

上位3カ国の投資残高を業種別にみると、英国は、製造業が2,565億ドルと最も多く、次いで、金融・保険業(790億ドル)、専門・科学・技術サービス(453億ドル)となった。カナダは、製造業が1,219億ドルと最も多く、次いで、金融・保険業(842億ドル)、卸売業(656億ドル)だった。日本は、製造業が1,586億ドルと最も多く、次いで、卸売業(1,202億ドル)、金融・保険業(808億ドル)の順だった。日本の製造業では、輸送機器(521億ドル)が最高で、化学(295億ドル)、機械(159億ドル)が続いた。日本の輸送機器の対米投資残高は、2003年にドイツを抜いて以降、16年続けて世界で最多となっている。

一方、2018年の米国から海外への直接投資残高は、前年比1.0%減の5兆9,510億ドルだった。国別では、オランダ(8,832億ドル)、英国(7,578億ドル)、ルクセンブルク(7,138億ドル)の順、業種別では、持ち株会社(銀行を除く、2兆7,795億ドル)、金融・保険業(9,049億ドル)、製造業(9,026億ドル)の順に多かった。

米国から海外への直接投資残高が前年比減となるのは、データ取得可能な1982年以降で初めてとなるが、商務省によると、2017年12月に成立した税制改革法(Tax Cuts And Jobs Act)を受け、多国籍企業が国外関連会社に累積していた海外留保利益を国内に還流したことによる影響が大きいと指摘している。前年に比べて、中南米のバミューダ諸島(2,494億ドル、前年比28.1%減)、アジアのシンガポール(2,188億ドル、20.2%減)など、業界別には持ち株会社(銀行を除く、2兆7,795億ドル、7.2%減)などが大きく減少した。

(注)米商務省経済分析局(BEA)は、国別の対内直接投資残高について、投資主体が所在する国を基準とした集計値とともに、投資主体を最終的に所有またはコントロールしている事業体〔最終的な実質所有者(UBO:Ultimate Beneficial Owner)〕が所在する国を基準とした集計値を公表している。本原稿における国別の対内投資残高は、UBOベースの値となっている。

(権田直)

(米国)

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