起亜自動車がインドでSUVの量産開始を発表

(インド)

チェンナイ発

2019年08月20日

起亜自動車のインド法人、起亜モーターインディア(KMI)は8月8日、アンドラ・プラデシュ(AP)州アナンタプールの自社工場での、コンパクトSUV(スポーツ用多目的車)「セルトス」の量産開始を発表した。「セルトス」は起亜自動車がインドで生産する初めてのモデルで、韓国とインドの2工場で生産される。インドのSUV市場では、地場のタタ・モーターズやマヒンドラ&マヒンドラ、外資のマルチ・スズキや現代自動車などが、既にモデルを展開している。6月には上海汽車集団(SAIC)傘下のMGモーターが「ヘクター」の投入でインドに新規参入しており、KMIの「セルトス」量産開始によって、完成車メーカー間の競争が激化しそうだ。

起亜自動車は、2017年4月にAP州政府と投資に関する覚書(MoU)を締結、536エーカー(約2.17平方キロメートル)の敷地に工場を完成させ、2019年1月から試験生産を行っていた。同社にとって、インドで初めての工場となるアナンタプール工場は、年間約30万台の生産が可能で、ハイブリッド車や電気自動車(EV)の生産にも対応できるという。KMIは、アナンタプール工場から南アフリカ共和国や南アジアなどへの輸出も視野に入れる(「フィナンシャル・エクスプレス」紙8月9日)。

長期的には成長が期待されるも足元では自動車販売が減速

インドの自動車市場は、2017年に商用車を含む自動車国内販売でドイツを抜き世界4位となった。豊富な人口を抱える一方で、自動車保有率がまだ低いことから、長期的にはさらなる成長が期待されている。その中でも、SUVを含む多目的車(UV)の販売台数は近年、堅調に推移しており、インド自動車工業会(SIAM)によると、2014年に出荷ベースで55万2,135台だったUVの販売台数は、2018年には94万1,461台に増えた。

その一方、足元では自動車の販売が低迷しており、2019年7月の乗用車(一般乗用車、UV、バン)販売台数は、出荷ベースで前年同月比31.0%減の20万790台と、9カ月連続の減少となった。UVの7月の販売台数も15.2%減の6万7,030台となっている。

今回のKMIのSUV量産開始は、自動車の販売が低迷し、他社の新規参入がある中での発表となり、地場や他の外資完成車メーカーが存在感を示しているインド市場において、後発となる同社が今後、販売台数を伸ばせるか注目される。

(坂根良平)

(インド)

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