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ロシア大手IT企業への外資出資制限法案、市場に動揺と反発の声

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年08月06日

ロシアでは近年、国家によるインターネットへの規制・監視を強化する法令が立て続けに採択されているが(2019年5月8日記事参照)、今度は国家にとって「重要な情報源」と見なされるロシアIT企業への外資の割合を20%以下に制限する連邦法案が7月26日に下院に提出された。市場には動揺が広がり、関係省庁や大手IT企業からは反発の声が上がっている。

本法案は2006年7月26日付第149-FZ号「情報、IT、情報保護」および2006年7月27日付連邦法第152-FZ号「個人情報」第18条を修正するもの。外資制限の対象となるのは、ロシア国内のユーザーに積極的に活用されているインターネット上のウェブサイト、ウェブページ、ロシア国内でユーザー情報を収集することが可能な電子計算機システム、プログラムで、ロシアの情報通信インフラとデータ加工技術の発展に「重要な情報源」と見なされるものとし、「重要な情報源」の主たる所有者はロシア法人もしくはロシア国民とし、外資による議決権は20%以内に制限するとしている。

「重要な情報源」への該非については、連邦通信・IT・マスコミ監督局(ロスコムナドゾル)がユーザー数、容量、情報蓄積量、期待される効果を評価し、政府委員会へ提案、同委員会において決定される。「重要な情報源」のリストはロスコムナドゾルのウェブサイトに掲載され、「重要な情報源」の所有者が、株主構成要件に従わない場合には、インターネット広告・サービスの拡散を禁止する。さらに、個人情報保護のため「重要な情報源」のデータベースは、ロシア国外に設置することは認められない。本法案は与党「統一ロシア」のアントン・ゴレルキン下院議員による議員立法で、専門家への相談や、しかるべき鑑定を経ずに作成したという(「タス通信」7月27日)。

IT分野の専門家は、本法案は世界的な政策トレンドにのっとったものする。ICT(情報通信技術)輸入代替権限センターのイリヤ・マスハ所長は、「重要な情報源」によって大規模に収集される個人情報の加工ルールの整備の1つとし、米国フェイスブックが最近、個人情報を大規模流出させた事案を挙げ、このような事案に備えた予防策との見方を示した(「タス通信」7月27日)。

本法案の発表後、市場には動揺と反発が広がっている。代表的なロシアIT企業であるロシア語検索エンジン最大手ヤンデックスの株価は、7月26日にモスクワ証券取引所と米国のナスダックでそれぞれ3.57%下落した。同社は本法案について「ローカルプレーヤーがグローバル企業と競争しているロシアのインターネットビジネスの独特なエコシステムを壊すもの」と批判した(「タス通信」7月27日)。

デジタル発展・通信・マスコミ相のコンスタンチン・ノスコフ氏も、ロシアの大手IT企業が、デジタル分野におけるロシアの競争力を押し上げていることを指摘し、法案が実現した場合、何千人ものロシア人プログラマーの給与削減や他国への流出につながり得る可能性を挙げ、「本法案を支持しない」と述べている(「ノーボスチ通信」7月27日)。

(齋藤寛)

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