第2四半期の貿易低迷で、2019年通年の輸出予測を大幅に下方修正

(シンガポール)

シンガポール発

2019年08月26日

シンガポール貿易産業省傘下の産業振興・貿易振興機関、エンタープライズ・シンガポール(ESG)は8月13日、同国の輸出指標である非石油部門の地場輸出額(自国生産による物品輸出で、再輸出を除く)の2019年の通年予測を「前年比9.0減~8.0%減」へと下方修正した(添付資料参照)。ESGは5月21日に、同予測を「前年比2.0減~0.0%」と下方修正していた(2019年5月29日記事参照)が、第2四半期の貿易統計を受け今回、大幅に下方修正した。また、2019年通年の貿易総額の予測についても「前年比3.0減~2.0%減」と、これまでの「0.0~2.0%増」から下方修正した。

ESGは発表の中で予測の下方修正の背景として、「世界的にエレクロトニクス業界が下降局面にあるほか、最終需要や景気の低迷により、第2四半期に非石油部門の地場輸出が予想以上に弱含んだ」と指摘した。また、原油の国際需要の後退により原油価格が低下した結果、石油関連の輸出額も名目ベースで減少となり、貿易総額全体を押し下げたとした。さらに、「世界の経済と貿易の伸びが過去2年間の成長から一転、2019年に鈍化する」との見込みを示した。

第2四半期の非石油地場輸出、前年比14.6%の2桁減に

同国の非石油部門の地場輸出は第2四半期に前年同期比14.6%減となり、前期の6.4%減からマイナス幅が拡大した。エレクトロニクス部門が26.9%減、非エレクトロニクス部門が10.5%減と、両部門ともに2桁減だった。国・地域別にみると、同輸出額トップ10カ国・地域において、米国を除く全ての国・地域でマイナスとなった。中でも、日本(28.5%減)、EU28(17.5%減)、中国(14.6%減)向けが大幅なマイナスだった。

また、第2四半期の貿易総額については前年同期比2.1%減と、第1四半期の2.1%増からマイナスに転じた。

(安野亮太)

(シンガポール)

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