日本外務省、香港全土の危険度をレベル1に引き上げ
(香港)
中国北アジア課
2019年08月21日
日本の外務省は8月14日、香港全土の危険レベルを「レベル1(十分注意してください)」に引き上げた。「逃亡犯条例」改正案に反対する一部の抗議活動について,警察不許可にもかかわらず行われる例があることや、ゲリラ的に行われるなど流動化傾向がみられること、抗議者と警察当局の衝突がエスカレートしていることなどが引き上げの要因となった。
外務省および在香港日本総領事館は、香港滞在中の邦人に安全確保を呼び掛けている。渡航・滞在の予定がある人および滞在中の人に対し、外務省海外安全ホームページ、在香港日本総領事館ホームページ、現地報道などから最新情報を入手し、抗議活動が行われている地域一帯には決して近づかないよう注意を促している。
抗議活動発生の予測が非常に困難
現在、香港では香港島のみならず、九龍エリア、新界エリアの至る所で抗議行動が行われている。さらに、最近の抗議活動は、デモが呼び掛けられてから発生するまでの時間が非常に短いため、いつどこでデモが発生するか予測が難しい。
香港では、デモ隊と間違われるような黒い服装をしないこと、また、ストライキなどの抗議活動によって交通網がマヒすることもあるので、各交通機関の状況(注)をチェックし、常に時間に余裕を持って行動することが重要だ。
外務省は、具体的には次のような事項に十分留意するよう求めている。
- 外出する際は、報道などから最新の治安情報の入手に努め、行き先の安全を確かめるとともに、外出中は周囲への警戒を怠らない。
- 抗議活動や衝突・口論の場、またはその可能性のある場所には決して近づかない。万が一かかる場所に遭遇した場合には、速やかにその場を離れる。
- 抗議活動の様子などをスマートフォンなどで撮影しない。香港警察当局の記者会見でも、撮影した者が抗議者に取り囲まれ、批判やさらには殴打を受ける例を挙げて注意を促したところであり、注意する。
- パスポートなど身分証明書を携帯し、職務質問を受けたときに備える。
外務省は万が一に備え、3カ月未満の渡航の場合は「たびレジ」への登録、3カ月以上の滞在の場合は在留届を提出するよう求めている。
ちなみに、香港で続く抗議活動を受け、中国国務院香港マカオ事務弁公室の張暁明主任は8月9日、「香港は返還以来、最も厳しい状況に直面している」としつつ、「『一国二制度』原則の最低ラインへの挑戦的な行動は絶対に容認できない」と発表するなど、中国の立場を表明しているが、混乱収束の見通しは今も立っていない。
(注)香港の交通状況を調べる際には、香港政府運輸当局、香港国際空港、香港MTRなどのウェブサイトなどが参考になる。
(楢橋広基)
(香港)
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