北朝鮮の2018年GDP成長率はマイナス4.1%、韓国銀行推計

(北朝鮮、韓国)

ソウル発

2019年08月05日

韓国銀行(中央銀行)は7月26日、北朝鮮の2018年の実質国内総生産(GDP)成長率が前年比でマイナス4.1%となったとの推計を発表した(注)。

産業別では、電気・ガス・水道業を除き、ほとんどが2017年に続いてマイナス成長を記録した(表参照)。農林漁業は農水産物の生産減少により前年比1.8%減、鉱業は石炭および金属生産の急減により17.8%減、製造業は重化学工業を中心として9.1%減と落ち込んだ。電気・ガス・水道業は、火力および水力発電量が増えて5.7%増となった。

表 北朝鮮の産業別実質GDP成長率の推移(推定値)

聯合ニュース(7月26日)によると、韓国銀行の関係者は「北朝鮮のGDP成長率は、2017年からの国際社会の制裁強化や猛暑の影響による不作で、2017年(3.5%減)に続いて2年連続で急減し、1997年(6.5%減)以来の最低水準となった」と分析した。

また、北朝鮮の産業構造において、鉱工業分野のシェアが2017年の31.7%から29.4%と減少した一方、農林漁業(22.8%から23.3%)とサービス業(31.7%から33.0%)は増加していることから、国際社会の制裁による北朝鮮経済への影響は、製造業を中心とする鉱工業分野に大きく表れていると分析した。

国連安全保障理事会は、2016年11月に、北朝鮮の主力輸出品である石炭の年間輸出量を4億ドル(または750万トン)に制限する制裁を決議し、2017年8月には石炭や鉄鉱石、海産物などの輸出を全面禁止した。さらに同年9月には繊維製品の輸出禁止とともに、石油類の輸入制限を追加し、12月には産業機械および輸送機械、鉄鋼などの輸入禁止を決議した。この影響を受け、北朝鮮の2018年の貿易も急減している(2019年7月25日記事参照)。

(注)韓国銀行は1991年から、韓国内の関連機関から北朝鮮の経済活動に関する基礎資料の提供を受け、「北朝鮮の経済成長率」を推定している。推定方法は、韓国で国民所得を推計する際に用いる国連の「国民経済計算(SNA:System of National Accounts)」を採用している。

〔李丙鎬(イ・ビョンホ)〕

(北朝鮮、韓国)

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