第2四半期のGDP成長率は0.5%、5四半期連続で減速

(香港)

香港発

2019年08月22日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は8月16日、2019年第2四半期(4~6月)の香港の実質GDP成長率を前年同期比0.5%と発表した(注)。5四半期連続で前期を下回り、2009年第3四半期(マイナス1.7%)以降で最も低い成長率となった2019年第1四半期(1~3月)から、さらに0.1ポイント低下した。

2019年第2四半期の成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比1.1%増と、前期(0.4%増)より0.7ポイント上昇したものの、引き続き低調だった。政府消費支出と合わせた実質GDP成長率に対する寄与度は1.2ポイントとなった(図参照)。

図 香港の実質GDP成長率および需要項目別寄与度の推移(四半期ベース)

固定資本形成は前年同期比11.6%減で、前期(7.0%減)より4.6ポイント低下した。とりわけ、機器、設備および知的財産生産物の取得支出は12.4%減と、前期(1.7%減)より10.7ポイント低下した。加えて、公共・民間部門における建設投資は、大型インフラプロジェクトへの投資が一巡したこともあり、10.6%減と前期(3.5%減)より7.1ポイント低下した。在庫増減を含めた成長率への寄与度は、マイナス3.4ポイントとなった。

財の輸出(実質ベース)は前年同期比5.6%減と、前期(3.7%減)より1.9ポイント低下した。特に、6月の財輸出の減少が顕著だった。主要市場別にみると、米国向けの輸出が2桁減少したのをはじめ、EU諸国向けの輸出も減少した。世界経済の低迷と米中貿易摩擦がアジアでの製造・貿易活動へ悪影響を与え、日本、中国を含む多くのアジア諸国向けの輸出が減少した。

サービス輸出は前年同期比0.2%減で、前期(0.8%増)より1.0ポイント低下した。2019年上半期の海外から香港への来訪者数は13.9%増と2桁の伸びだったが、来訪者1人当たりの消費額は伸び悩み、旅行サービスの輸出は2.0%増にとどまった。一方で、金融サービスの輸出は国際的な金融活動の活発化に伴い、2.8%増と前期(0.6%減)より3.4ポイント上昇した。財・サービス全体の純輸出の成長率に対する寄与度は、財輸入が7.0%減となったことも影響し、2.7ポイントとなった。

(注)7月31日に香港政府が公表した見込み値(0.6%)から修正を加えた確定値。

(吉田和仁)

(香港)

ビジネス短信 b9ba1b4d3b375ea6