タイ中銀が政策金利の引き下げを決定

(タイ)

バンコク発

2019年08月09日

タイ中央銀行は8月7日、金融政策決定会合を開催し、政策金利を1.75%から1.50%に引き下げた。政策金利の引き下げは約4年ぶり。利下げは市場関係者が想定していなかったと言われており、ブルームバーグのエコノミスト調査でも、29人のエコノミストのうち0.25ポイントの利下げを予想していたのは2人だけで、それ以外は金利据え置きを見込んでいた。

米中間の通商関係の緊張の高まりや世界経済の減速などによる輸出減少、個人消費の弱まり、バーツ高の影響による外国人旅行者の伸び悩みなどの理由から、タイ中銀は、当初の見通しよりも経済成長率が鈍化すると予想。景気下支えの必要性などから利下げに踏み切った。

さらなる利下げの可能性についても市場関係者は言及している。総合金融機関のINGグループのエコノミスト、プラカシュ・サクパル氏は「財政面からの景気刺激策が明確になっていない現状を考えると、緩和策をより強化することも必要だ」との見方を示した。オーストラリア・ニュージーランド銀行のエコノミスト、クリスタル・タン氏は、米中貿易摩擦の激化と世界市場の落ち込みを指摘した上で、「経済成長に対する懸念は急速に高まっている」と述べた。

(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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