カナダ・ロッキーズLNGプロジェクト、日本のパートナー参加に期待

(カナダ)

トロント発

2019年08月21日

ジェトロは8月1日、カナダ・アルバータ州のシェールガス生産会社セブン・ジェネレーションズ・エナジーの営業担当バイスプレジデント(面談時)、ランディ・ハナチューク氏と面談し、同社がコンソーシアムとして参加しているロッキーズLNGパートナーズの液化天然ガス(LNG)プロジェクトについて話を聞いた。

LNGカナダに続くLNGプロジェクトが進行中

カナダでは、2018年10月に発表されたLNGカナダによる国内初の天然ガスの液化プラントと輸出ターミナル建設への約400億カナダ・ドル(約3兆2,000億円、Cドル、1Cドル=約80円)の投資が話題を呼んだが(2018年10月9日記事参照)、これに続くLNGプロジェクトが進行中だ。

アルバータ州とブリティッシュ・コロンビア(BC)州の天然ガス生産者グループは、ロッキーズLNGパートナーズとしてコンソーシアムを立ち上げ、生産者主導のLNGプロジェクトの共同開発に合意した。同パートナーズは、カナダ西部という地の利を生かして、LNGの新たな海外輸出の機会を特にアジア市場で模索している。

このコンソーシアムの中心的な企業であるセブン・ジェネレーションズ・エナジーによると、同社が生産する天然ガスの76%はカナダ東部や、シカゴ、メキシコ湾岸地域へ輸出されているが、既にパイプラインのキャパシティーに達している状況だという。また、ロッキーズLNGのメンバー企業全体では現在、全カナダの生産量の20%を占める1日当たり30億立方フィートの天然ガスを生産しているが、一般的に、カナダ西部の天然ガス生産者にとって、シェールガスの一大生産国である米国での競争力確保は困難なため、カナダ西部の天然ガスを大量に利用するLNGプロジェクトの実現は強く支持された。

アジアのパートナーを模索中

このプロジェクトは既に、BC州プリンス・ルパート地域2カ所でのエンジニアリング・スタディーが完了し、パイプライン会社のTCエナジーやエンブリッジとも話を進めているという。TCエナジーのパイプライン(PRGT:Prince Rupert Gas Transmission)は、BC州政府の主要な許認可を既に得ており、エンブリッジのパイプライン(西岸接続線)も環境承認を得ているという。一方、プロジェクトの実現には対応が昨今より厳しくなってきている先住民族や環境保護団体などとの調整や連携も欠かせないため、それらを滞りなく進められるかがカギとなる。プロジェクトは前述のとおりアジア市場をターゲットにしていることから、ロッキーズLNGは日本の企業にも、輸入や市場開拓、買い付け、インフラ投資などのプロセスに参入機会があるとして、コンソーシアムへの参加を期待している。

(江崎江里子)

(カナダ)

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