米商務省、中国の原発最大手など17社を輸出規制対象に追加

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年08月19日

米国商務省は8月14日、中国を含めた11カ国・地域の企業17社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティーリスト(EL)に追加すると連邦官報で発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料参照)。同官報では併せて、EL掲載済みの企業23社に対する変更と3社の除外も発表した。

ELには、米政権が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為を行った」と判断した法人などが掲載され、それらへ米国製品(物品・ソフトウエア・技術)を輸出・再輸出する場合には事前に許可が必要となる。新たに掲載された企業への輸出・再輸出は「原則不許可(presumption of denial)」の扱いとなっている。米政権は最近では5月に、中国の華為技術(ファーウェイ)と関連68社を(2019年5月16日記事参照)、6月には中国のスーパーコンピュータ関連企業5社(2019年6月24日記事参照)をELに追加している。

今回追加の企業は中国以外の10カ国・地域の企業も含まれているが、中国で最大の原子力発電業者の中国広核集団と関連3社が含まれていることから、既に緊迫している米中関係にとって新たな火種になる可能性がある。米エネルギー省は2018年10月に、中国との民生用原子力分野における協力に関する政策方針を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、米国の原発関連の製品・技術を中国に移転する際のルールを厳格化していた。今回の商務省の判断はこの政策方針を補完するものとみられている。この判断を受けて、中国外務省の華春瑩報道官は8月15日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「中国はわが国や諸外国の利益を一方的かつ保護主義的な政策で損なう米国の行動に断固として反対する」と発言している。

EL掲載済み企業23社の変更は、中国の17社、香港の4社、ロシアの2社が対象で、いずれもEL掲載以降の企業名の変更や、拠点の変動を反映した内容となっている。ELから除外された3社は、中国の石油ガスエンジニアリングのJereh International、Yantai Jereh Oilfield Services Group、アラブ首長国連邦の電気機器販売のDeira General Marketingだ。いずれも当該企業からの除外申請を精査した結果の判断としているが、理由については記載されていない。

(磯部真一)

(米国、中国)

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