観光ビザ無償化で観光産業の復興に期待

(スリランカ)

コロンボ発

2019年08月27日

スリランカ政府は8月1日、観光ビザ発給を無償化した。2020年1月末までの6カ月間の時限的措置ながら、テロ事件で打撃を受けた観光産業を復興するものとして期待される。政府は当初、5月から観光ビザ無償化のスキームを開始すると発表していたが(2019年4月9日記事参照)、4月21日の同時爆破テロの発生で「国の安全保障上の懸念が高まった」として、導入直前に延期を決めた(2019年5月10日記事参照)。ビザ無償化は、当初の計画では38カ国が対象だったが、8月の改定案では10カ国が新たに追加され、48カ国が対象となった(表参照)。

表 ビザ無償化対象国

テロを受け観光客は7割減

同時爆破テロを受け、各国がスリランカの危険レベルを一時引き上げた影響などにより、テロ直後の5月には海外からの旅行客数が前年同期比70.8%減の3万7,800人に激減した。スリランカ政府は基幹産業である観光業の復興施策として、観光業界に対してモラトリアム(ローンの金利・元本の返済を時限的に猶予)の適用や、法人税の引き下げなどのあらゆる支援策を講じた(2019年5月10日記事参照)。

さらに、政府は7月28日、10億ルピー(約6億円、1ルピー=約0.6円)を観光宣伝活動予算として配分する準備を進めていることを明らかにした。テロにより失われたスリランカの安全に対するイメージを改善すべく、政府観光発展局が中心となり、観光ジャーナリストの招待や観光専門誌への広報など、具体的な活動を推進するために充てる予定だ。また、政府は航空券代に含まれる税金を引き下げて航空券の価格を抑えることで、幅広い層の観光客を呼び戻すための措置も導入している(実施期間は8月1日から2020年1月末までの6カ月間)。テロを受けて停止されているスリランカと各国を結ぶ定期航空便(計41便)の運航再開にも期待がかかる。

(ラクナ・ワーサラゲ、糸長真知)

(スリランカ)

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