観光分野の付加価値税を期間限定で減税、テロの影響軽減狙う

(スリランカ)

コロンボ発

2019年05月10日

スリランカ財務省は5月7日、観光分野における付加価値税(VAT)を現行税率の15%から5%に減税すると発表した。4月21日に発生した同時爆破テロ以降、観光産業の売り上げの落ち込みは激しく、政府が救済に乗り出したかたちだ。同省はVAT減税に加え、借入金の返済と利子の支払いを猶予することも発表した。いずれの施策も、期間は2019年5月7日から2020年3月31日までで、スリランカ観光開発局(SLTDA)に登録するホテルと旅行代理業が対象となる。

また、政府はいち早く観光客を呼び戻すため、広告宣伝費として新たに4億5,000万ルピー(約2億8,350万円、1ルピー=約0.63円)を投じること、金属探知機やX線検査機などの安全対策製品の輸入にかかる関税・準関税を免税とすることも公表した〔期間は2020年3月31日まで、全産業が対象、国家建設税(NBT)を除く〕。他方、5月1日から開始予定だった観光ビザ無償化(2019年4月9日の記事参照)も治安維持を目的に中止が決まった。スリランカ中央銀行によると、2017年の観光収入は39億ドルで、スリランカにとって観光業は重要な外貨獲得手段となっている。今回の施策は、ビザ無償化の代替策と位置付けられる。

同時爆破テロ発生(4月21日)以降、日本を含む各国はスリランカの危険レベルを一斉に引き上げており、不要不急の渡航を自粛するよう勧告している(注)。

(注)日本の外務省は4月26日、危険レベル1から、レベル2「不要不急の渡航はやめてください」へ引き上げ。米国は公的職員の子女退避勧告、サウジアラビアは滞在サウジ国民の退避勧告を出している。

(追記)ビザ無償化はその後、8月1日から開始された。対象期間は2019年8月1日から2020年1月31日までで、日本を含む48カ国が対象。

(井上元太)

(スリランカ)

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