オユトルゴイ鉱山第2フェーズの稼働延期の見通しを発表

(モンゴル)

北京発

2019年08月15日

英国・オーストラリア資源大手のリオティント(以下、リオ)は7月16日、同社がモンゴルで開発を進めるオユトルゴイ(以下、OT)鉱山第2フェーズ(注1)の現状について発表した。

設計見直しに伴うスケジュールと追加費用の見通しを示す

発表によれば、詳細な地質調査の結果、現在の設計図に従って地下鉱山開発を進めた場合、岩盤の状態が不安定なことから、危険が生じる可能性が明らかになり、鉱山の設計を見直す必要が生じたとしている(注2)。設計の見直し作業は2020年下半期に完了する見込みで、地下鉱山の安全な稼働は、当初の予定よりも約16~30カ月遅れの2022年5月ないし2023年6月になる見込みという。また、地下鉱山の開発費用についても、FS(事業化調査)時点の53億ドルより増加し、概算で65億~72億ドルになるとした(注3)。

リオのS.マッキントッシュ・イノベーション開発担当役員は「このような大規模で複雑かつ困難なプロジェクトを実施するために、工期が延期されることは少なくない」と説明したほか、同社の銅ダイヤモンド・グループの責任者であるA.スアラト氏は「われわれはプロジェクトを成功させるべく、ターコイズヒルリソース(注4)およびモンゴル政府と協力している」と地下鉱山開発継続の意思を表明した。

OTの株式の34%を保有するモンゴル政府は、スケジュールの遅れと費用の増加によって同社株の配当の延期などの影響を受けることが予想されるが、現在のところ公式なコメントを発表していない(8月12日時点)。過去にも、OTの露天掘り鉱山(第1フェーズ)で、開発費用が当初の想定を超過したことが政府とリオの間で問題になり、第2フェーズの工事開始が遅延した経緯がある。今回の問題を政府および世論がどのように受け止めるのか、また、必要な追加資金をどのように調達するのか、それぞれ今後の動きが注目される。

(注1)オユトルゴイは金・銅の鉱山で、主として銅を産出。リオは第1フェーズで露天掘り鉱山を開発し、現在、第2フェーズとして地下鉱山の開発を行っている。

(注2)スケジュールと費用を見直す必要があることは、リオの2018年活動報告(2019年6月18日付)の際に発表されていた。今回の発表は延期後の具体的なスケジュールおよび発生する追加費用の見通しを示したもの。

(注3)リオのプレスリリースによれば、スケジュールや費用は多くの要因によって、今後変動する可能性がある。

(注4)リオの子会社(同社が51%の株式を保有)で、オユトルゴイ鉱山の権益の66%を保有する企業。残り34%はモンゴル国有企業であるエルデネス・オユトルゴイが保有している。

(藤井一範)

(モンゴル)

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