シェル、米メキシコ湾の大水深海洋石油開発プロジェクトに最終投資決定

(米国)

ヒューストン発

2019年08月08日

オランダのロイヤル・ダッチ・シェルの子会社シェル・オフショア(テキサス州ヒューストン)は8月1日、メキシコ湾のパワーナップ大水深海洋石油開発プロジェクトに対し、最終投資決定(FID)を行ったことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

パワーナップは海岸まで240キロ、水深1,280メートルのミシシッピ・キャニオンと呼ばれる海域で、2014年に油田が発見され、100%シェルが所有する。

石油生産には新たな浮体構造物を用いず、直線距離で20キロ付近の場所にある既存のプラットフォームのオリンパス(注)まで、海底の油井口から海底パイプラインをつなぐ(タイ・イン)タイ・バック方式と呼ばれるかたちで接続し、2021年後半に生産開始の予定だ。ピーク時の日産量は石油換算で3万5,000バレルが見込まれている。

オリンパス上で分離された原油は、シェル・パイプラインおよびシェル・ミッドストリーム・パートナーズが71.5%、BPミッドストリームが28.5%のシェアを有するマース・パイプラインを通じて陸上に輸送される。

シェルはこのプロジェクトのFIDに関し、将来的には原油の損益分岐価格について1バレル当たり35ドル以下を想定(直近の5年間を除く。探鉱や評価、リースボーナスなどは考慮しない)しており、陸上のシェール石油などに対して海洋石油の開発生産の競争力向上に努めている。

また、シェルは7月30日、自らがオペレーターではない海洋油田シーザー・トンガの権益を売却しており、自らオペレーターを務める海洋鉱区に資源と投資の集約を進めている(2019年8月6日記事参照)。

(注)オリンパス:シェルが71.5%、英国石油大手のBP子会社のBP探鉱・生産社が28.5%のシェアを持つプラットフォームで、テンション・レグ・プラットフォーム(TLP)と呼ばれる半潜水型プラットフォームを、海底の固定基礎と張力がかかった状態の鋼管またはワイヤーで固定する方式。最大生産可能量は日産10万バレル(タイ・バックで接続された油井の産出分を含む)で2014年から生産開始。

(中川直人)

(米国)

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