中国が外貨準備の詳細を初めて公表、ドル依存度が低下

(中国)

北京発

2019年08月13日

中国国家外貨管理局は7月28日、「国家外貨管理局年報(2018年)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、年報)を発表し、外貨準備の過去の運用実績、通貨構成などのデータを初めて明らかにするとともに、投資理念、リスク管理、運用体制などの状況を説明した。

中国金融先物取引所研究院の趙慶明首席エコノミストは「年報でより多くの情報を公開することで市場の誤解を減らし、中国の外貨準備運用をより総合的に評価することができる」と述べた(「金融時報」7月29日)。

外貨準備の運用実績、構成通貨比率を公表

年報によると、2005年から2014年までの外貨準備の平均収益率は3.68%だった。また、通貨構成をみると、ドルの比率が1995年の79.0%から2014年には58.0%まで低下し、ドル以外の通貨の比率が21.0%から42.0%まで拡大した(図参照)。

図 中国の外貨準備構成通貨の比率

この変化について、国家外貨管理局の王春英報道官は「中国の外貨準備の通貨構成はますます多様化し、世界の外貨準備の平均水準より分散している。これは、中国の対外経済貿易発展と国際決済のニーズにかなっているだけでなく、外貨準備の為替リスクを低下させるのにも役立つ」とコメントした。

対外債務は短期が約6割

年報によると、2018年の対外債務残高(以下、全て残高ベース)は1兆9,652億ドルだった。このうち、中長期の対外債務が6,936億ドルで全体の35.3%を占める一方、短期は1兆2,716億ドルで64.7%を占めた。2013年に中長期が21.6%、短期が78.4%だった状態と比べ、対外債務の構造は改善されているものの、短期債務が占める割合が依然として高い。

なお、2018年の外貨準備に占める短期対外債務の割合は41.4%となっている。年報では、「この比率は、一般的に警戒を要する水準とされる100%を下回っており、中国の対外債務のリスクは全体的にコントロール可能な状態にある」と説明している。

(趙薇)

(中国)

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