研究開発(R&D)・人材育成の減税の概要が明らかに

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年08月15日

インドネシア財務省国際租税総局(DGT)は8月8日、日系企業に対するセミナーにおいて、研究開発(R&D)・人材育成に取り組む企業に対する大幅な減税制度「Super Deduction Tax」(2019年7月26日記事参照)の内容を明らかにした。同減税制度については、6月26日付の政令が出されたものの、施行細則が公布されておらず、詳細が不明だった。

登壇したDGTのワヒュ・サントサ氏は、Super Deduction Tax導入の目的について、高付加価値製品・サービス創出に向けた研究開発の必要性、企業が求める人材の育成、労働集約型産業の奨励による失業率の低減、の3点を述べた。その上で、減税制度について説明した。同氏によると、R&Dについては、国内の研究機関と連携し、国家研究マスタープランのテーマに沿う活動を企業が行っている場合、インドネシア国内のR&D費の300%を上限に総所得から控除する(表参照)。人材育成については、企業が職業高校や大学、労働省のプログラムと連携する場合、研修施設費やインストラクター管理費、研修に必要な謝金などにかかる費用の200%を上限に総所得から控除する。労働集約型産業については、多数の雇用を生む新規投資あるいは拡張投資にかかる投資総額の10%を、6年間にわたり総所得から控除する。この場合、既存の投資減税(タックス・アローワンス)の適用を受けていない企業のみを対象とする。

表 Super Deduction Taxの概要

こうした減税制度の詳細は、今後発表される財務大臣規程で明らかになるとみられる。

ロベルト・パクパハンDGT総局長は、企業活動を活性化するための取り組みとして、Super Deduction Taxの導入に加え、法人税率引き下げの本格的な議論を行っている、と述べた。また、より透明性の高い税務行政を行うため、IT技術の導入や組織改革に取り組んでいることを明らかにした。

本セミナーは、DGTと日本インドネシア税務交流会が共催し、在インドネシア日系企業約120社が出席した。

(山城武伸)

(インドネシア)

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