経済分析局、2019年のGDP成長率予測を1.8%へ上方修正

(オランダ)

アムステルダム発

2019年08月29日

オランダ経済政策分析局(CPB)は8月15日、2019年の実質GDP成長率を1.8%、2020年は1.4%とする経済予測を発表した(表参照)。6月に発表された予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと比べ、2019年を0.1ポイント上方修正し(6月予測:1.7%)、2020年は0.1ポイント下方修正(1.5%)した。

表 オランダ経済の見通し

オランダ経済は、2017年に実質GDP成長率が2.9%を記録し、これがピークといわれていたとおり、2018年は2.6%となり、今回の予測で緩やかな減速傾向が示された。今回の発表では、これまでの順調な経済動向を反映して、失業率は2019年には3.4%と最低水準に達し、実質賃金の上昇(民間部門の1時間当たり賃金上昇率は2019年3.1%、2020年3.0%)と政府の減税措置により、購買力が2019年、2020年ともに1.2%上昇する見込みだ。また、財政収支は2019年、2020年ともGDP比で黒字を維持するとしている。

CPBのローラ・ファンヒースト局長は「オランダ経済は、ターニングポイントを過ぎ、減速している。失業率は引き続き低いままだが、特に民間部門では、雇用の伸びは実質的に横ばいになっている。オランダ経済は主に国内消費が牽引しており、輸出は国外の摩擦の影響を受けている」と分析する。

また労働市場は、2019年も引き続き逼迫すると見込まれるが、労働生産性が伸び悩むことから、生産における成長の鈍化が始まるとみている。一方、2020年には継続的な労働力供給により、雇用の伸び率は低下し、失業率の低下が下げ止まるとみる。さらに、景気の下振れリスクもさらに高まっており、米国の貿易政策とそれに対する反応、混沌(こんとん)とした英国のEU離脱の行方、イタリアの政治情勢などは、オランダ経済には大きな脅威となるとしている。

今回の発表は、9月17日に予定されている2020年政府予算案などの政策決定にも反映される。

(高橋由篤)

(オランダ)

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