渡航や市民権など男女平等に向けて法を一部改正

(サウジアラビア)

リヤド発

2019年08月06日

サウジアラビアでヒジュラ歴12月1日に当たる8月2日、男女平等に向けた新たな勅令(アラビア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが発出された。

その内容は、1.渡航、2.市民権、3.雇用機会均等の3分野で、既存の法の修正が行われるというもの。いずれの分野も、これまで制限されていた女性の権利拡大につながる歴史的な内容となっている。今回の勅令で言及されている主な法改正は次のとおり。

  1. 渡航:サウジアラビア国籍保有者であれば、その申請をもってパスポートが発行される。
  2. 市民権:各家庭の家族登録証の登録と修正は、両親のいずれかが行うことができる。
  3. 雇用機会均等:サウジアラビア国民は、性別、年齢、障害の有無の差別なく雇用する権利を有する。雇用主は従業員の妊娠期間中、育休期間中に従業員を解雇することができない。また、妊娠・出産から派生する病気の場合、診断書があれば180日以内の病気休暇取得を理由に雇用主は従業員を解雇することができない。

1.では、勅令自体には年齢の明記はないものの、当地での各種報道によると、21歳以上の女性が対象とみられる。これまでは21歳以上の女性はパスポートの申請および国外渡航では男性家族の許可が必要だったが、事実上許可なしに可能となった。周囲のサウジアラビア人女性に今回の法改正について聞いたところ、「出張のたびに父親からの渡航許可手続きを経る必要があったが、それがなくなり、うれしい」「また1つ男性と同じ権利が与えられたことに意義がある」と、一様に喜びの声が聞かれた。

今回の法改正は、2018年に解禁となった女性の自動車運転に加え、サウジアラビアで進む社会・経済改革の大きな成果の1つといえよう。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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