インダストリー4.0導入に向けたデジタル人材育成プログラム開始

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年08月21日

インドネシア通信情報省は、インダストリー4.0に向けて同国経済のデジタル化を推進するため、人材育成プログラムとして「Digital Talent Scholarship」(DTSプログラム)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに2019年から取り組んでいる。

プログラムの一環として、インドネシア大学は7月1日から8月31日までのうちの36日間、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、サイバーセキュリティーの3コースを開講している。

インドネシア工業省が2018年4月に発表したインダストリー4.0導入に向けたロードマップ「Making Indonesia 4.0」(2018年4月12日記事参照)は、優先項目として人材の質の向上、具体的には、インダストリー4.0に合わせた教育カリキュラムの刷新を掲げている。同プログラムはその具体的な取り組みの1つで、通信情報省の人材育成研究開発局と国内31大学、23のポリテクニック、シスコシステムズ、グーグル、マイクロソフト、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)といったグローバル企業が連携して講座を開設するなどしている。

DTSプログラムは2万5,000人を対象としており、Fresh Graduate Academy(FGA)とVocational School Graduate Academy(VSGA)、Coding Teacher Academy(CTA)、Online Academy(OA)の4コースを設置し、コースによって学習内容や対象年齢などを決めている(添付資料参照)。

インドネシア大学が実施しているのはFGA講座で、受講生は大学卒業生が多い。地方出身者に対しては、通信情報省が下宿などに宿泊するための費用を負担しているとのことだ。講師陣は同大学に在籍しているインドネシア人がほとんどで、米国などでコンピュータ関連の修士・博士号を取得している。AWSがクラウドサービスのアクセス権を学生に無償で付与し、同社のIoT、ビッグデータなどのサービスを使用して講義している。AIに関する授業では、プログラミング言語のパイソン(Python)を活用したデータ分析、グーグルが開発したテンサーフロー(Tensorflow)というソフトウエアを活用したディープラーニング、さらにはAWS認定クラウドプラクティショナーの資格取得に必要な知識などを学ぶ。講座の最後には証券市場を予測しプレゼンテーションを行うなど、実践を重んじている。インドネシア大学の担当者は「受講生の多くはテックカンパニーへの就職を希望しており、日本企業からも要望があればぜひマッチングしたい」と述べた。

写真 講座風景(ジェトロ撮影)

講座風景(ジェトロ撮影)

DTSプログラムについては、通信情報省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(インドネシア語)参照。

(上野渉)

(インドネシア)

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