対EC模倣品対策にも関心高まる、ジェトロと経産省が真贋判定セミナー開催

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年08月01日

消費市場として注目されているベトナムでは、国内の伝統的な卸・小売市場や個人商店には模倣品や海賊版が多く、また、摘発後も再犯が後を絶たない。ビジネスに大きく影響する模倣品の対策が重要になっている中、ジェトロと経済産業省はホーチミン市で7月17日と18日、ホーチミン市税関局、ホーチミン市市場管理局(国内流通商品取り締まり)、ベトナム知財研究所(VIPRI、模倣品鑑定)を対象とした真贋(しんがん)判定セミナーを開催した。日系企業から12社、執行機関からは2日間で延べ120人以上が参加した。

セミナーでは、日系企業から真贋判定のポイントについて情報提供があったのに加えて、税関に対し、侵害の疑いがある貨物が税関で発見された際の確認期間(3日間)の延長や、同事案について税関から企業へ通報があった際に企業がメールによる写真鑑定を可能とするようにとの要望が挙げられた。税関担当者は、現行の関連通達の改定や、電子化のシングルウインドー・サービスの活用と関連して検討していきたいと回答し、加えて企業が模倣品の輸出入の監視を申請する税関登録を行うよう促した。

日本企業から市場管理局への質疑応答セッションもあり、増加する電子商取引(EC)サイトの模倣品対策について関心が集まった。市場管理局担当者は、侵害者の特定は非常に難しいとしながらも、ECサイト管理者には模倣品対応の協力義務がある(政令52/2013/ND-CP)ため、販売業者登録時に正しい情報を登録してもらうよう対応すると説明した。

ベトナムでは、商品価値が高額な事件が対象となる刑事訴追はほぼ例がない。知的財産専門の裁判所はまだなく、民事訴訟には相当な時間を要する。そのため、行政機関による処分を求めることが企業の現実的な対策となっている。ただし行政の処罰も、他国と比較すると緩やかな対応にとどまっており、また模倣品など販売で得られる収益の大きさに比べて不十分で、抑止力にならないとの声もある。

写真 権利者商品を確認する執行機関職員(ジェトロ撮影)

権利者商品を確認する執行機関職員(ジェトロ撮影)

(池永佑、今西遼香、小林亜紀)

(ベトナム)

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