新たに6省・自治区に自由貿易試験区を設立

(中国)

北京発

2019年08月28日

中国国務院は8月26日、「6つの自由貿易試験区を新設する総体方案に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公布し、新たに山東省、江蘇省、広西チワン族自治区、河北省、雲南省、黒龍江省の6省・自治区に自由貿易試験区(以下、自貿区)を設立すると発表した。今回の新設によって、中国の自貿区は計18カ所となった。

通知によると、中国(山東)自貿区は済南、青島、煙台、中国(江蘇)自貿区は南京、蘇州、連雲港、中国(広西)自貿区は南寧、欽州港、崇左、中国(河北)自貿区は雄安、正定、曹妃甸、大興空港、中国(雲南)自貿区は昆明、紅河、徳宏、中国(黒龍江)自貿区はハルビン、黒河、綏芬河の各エリアから構成される。

商務部の王受文副部長は8月26日の記者会見で、上記6地域を自貿区に選定した理由について、山東省、江蘇省、河北省は沿海部に位置しており、内陸の後背地に対しても牽引効果があること、広西チワン族自治区、雲南省、黒龍江省は国境に接しており、周辺国・地域との経済貿易協力を通じて国境地域の開発・開放レベルを向上させることができると説明した。

また、王副部長は今回新設された6自貿区の特徴として、(1)各種制度(貿易、投資、金融、事中事後の監督管理)のイノベーションをコアとすること、(2)各地域の比較優位に基づいて対外開放を進めること、(3)質の高い発展を牽引すること、(4)「一帯一路」構想や京津冀協同発展、東北振興などの国家戦略との融合を挙げた。

自貿区は2013年9月に上海に設立されたのを皮切りに、2015年4月に広東省、天津市、福建省、2017年4月に遼寧省、浙江省、河南省、湖北省、四川省、陝西省、重慶市、2018年10月には海南島全島にも拡大されていた。

自貿区でこれまで実施された措置のうち、既に約170項目が国務院によって全国に展開されているほか、投資分野では全国版外商投資ネガティブリストの項目が大幅に削減され、自貿区所在企業に適用される外商投資ネガティブリストとの差異が縮小している。今回設立された6自貿区がどこまで他の自貿区との差別化を図れるか、今後の運用などが注目される。

(小宮昇平)

(中国)

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