タイ投資委員会、2019年上期の対内投資データを公表

(タイ)

バンコク発

2019年08月20日

タイ投資委員会(BOI)は、2019年上期の対内投資にかかるデータを公表した。BOIによれば、同期間中における対内投資額(申請ベース)は、全体で2,326億1,000万バーツ(約8,141億円、1バーツ=約3.5円)となり、前年同期比17%減だった。このうち、外国企業による直接投資(FDI)は1,471億6,900万バーツ(2.1倍)で、同国の対内投資全体の63%を占めた(注1)。

外国直接投資の認可で、中国が存在感

FDI申請額を国・地域別にみると、日本(424億5,400万バーツ)が首位で最も多く、FDI全体の29%を占める。そして中国(242億7,800万バーツ)、スイス(114億4,300万バーツ)、香港(76億1,500万バーツ)の順に続く。他方、認可ベースでは、中国(365億7600万バーツ)が首位でFDI全体の32%を占め、日本(291億8,200万バーツ)、香港(146億600万バーツ)、シンガポール(72億9100万バーツ)が続く。同期間には、中国企業によるタイヤやアルミホイール製造など、大型の投資案件がBOIに認可されており、これらが中国の投資額を増大させている。

在タイ企業による再投資が大半

2019年上期のFDI申請額(1,471億6,900万バーツ)のうち、86%の1,260億700万バーツは、在タイ企業によるものだ。FDIを牽引しているのは、タイに拠点を有する外国企業による、事業拡張などを目的とした再投資とみられる。実際BOIも、タイで操業中の企業を対象に、省エネや生産性向上を目的とした再投資を奨励している。具体的には、これらの企業が設備の入れ替えや研究開発を実施する場合、機械の輸入税や法人税を免除する恩典を付与している(注2)。

EECや重点産業への投資もFDIが多数

2019年上期における、東部経済回廊(EEC)への投資申請は、1,180億5,000万バーツ(前年同期比38%減)で、このうち75%の881億7,900万バーツ(3.7倍)がFDIだ。また、国の産業高度化に向け、タイ政府が指定する重点産業への投資申請額は、1,318億5,000万バーツ(43%減)だが、うち68%の898億9,400万バーツ(2.4倍)がFDIで、電機・電子や自動車などの分野に多く投資されている。EEC、およびターゲット産業ともに、外国企業による投資が全体を牽引している。

(注1)対内投資全体(2019年上期)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)および外国企業による対内投資(2019年上期)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の統計は、タイ投資委員会(BOI)の公式サイトで参照が可能(タイ語)。

(注2)本恩典は、BOI布告9/2560号に基づき、申請期限は2020年末。

(田口裕介)

(タイ)

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