労働省、外国人就労者の役職リスト作成を計画

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年08月26日

インドネシア労働省は近く、外国人の就労可能な役職をリスト化する新たな大臣規程を発布することを計画している。ジェトロとジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)は8月21、22日に開催したセミナーにおいて、新規程について同省と協議してきた経緯を明らかにした。新規程が施行されると、インドネシアで就労する外国人は、就労許可の更新・申請に当たり、原則としてリストから役職を選択することになる見込みだ。これに伴い、社内の組織図の見直し、従来の役職からの切り替えなどの作業が発生するとみられる。

労働省は2019年3月、各国商工団体に対して新規程の概要を明らかにしていた。新規程は、大統領規程2018年第20号と労働大臣規程2018年第10号に基づくもので、投資手続きの簡素化を名目としている。従来、外国人労働者の役職は、各社が任意の名称で申請し、内容に応じて労働省と関連省庁で審議していたが、役職のリスト化によって審議の手間を減らす狙いがあるとみられる。これまでエネルギー分野など19業種については導入されていたが、今回の新規程で対象業種が拡大される見通しだ。

セミナーの講師を務めたFPC Indonesiaの小池雄一代表取締役は、この規程によって、関係法令に抵触するリスクが高まる可能性を指摘した。インドネシアで就労する外国人は、決められたポジションのみで就労可能で、会社組織図、就労許可、名刺上の役職が、それぞれ実際の業務と同じであることが求められる。しかし、労働省が指定した役職を取得する形式の場合、就労許可に記載される役職と、実際の業務との整合性が取りづらくなる可能性が生じる。同規定に抵触した場合、労働に関する法律2003年第13号第42条により、1年から4年の懲役、および/または1億ルピア(約74万円、1ルピア=約0.0074円)から4億ルピアの罰金刑が科されているため、留意が必要だ。

ジェトロとJJCは、他国の商工会議所とともに、新規程が企業活動の妨げとならないよう、リストにない役職名を個別申請できるメカニズムの導入などを、労働省に提言してきた。同省は、これに前向きに検討するとしている。新規程の公布時期は明らかでないが、労働省は各省庁などの調整が済み次第、速やかに公布したいとしている。

(山城武伸)

(インドネシア)

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