中国で相次ぐEV発火事故、大手・ベンチャーを問わず発生

(中国)

広州発

2019年08月21日

中国の新エネルギー車ベンチャーの雲度新能源汽車(本社:福建省)は8月12日、広西チワン族自治区南寧市で自社の電動スポーツ用多目的車(SUV)「π3」の発火事故が起きたと発表した。けが人などはおらず、原因は現在調査中としている。8月10日以降、路上に駐車したπ3が炎上する様子を収めた動画がインターネット上で広まっていた。

雲度新能源汽車は、国有自動車メーカーの福建省汽車工業集団、●(草かんむりに甫)田市国有資産投資、福建海源機械などが9億元(約135億円、1元=約15円)出資し、2015年に設立された。同社設立は、国務院から福建省の経済発展促進に向けた重点プロジェクトに指定され、同省の第13期5カ年計画でも重点プロジェクトとされている。

同社は、2016年9月にはイタリアのミラノにデザインセンターを設立。2017年10月に初の電動SUV「π1」を、2018年3月にπ3を発売した。

また、8月13日には、長城汽車(本社:河北省)の小型電気自動車(EV)「欧拉R1」が充電ステーションで充電中に発火する動画がインターネット上にアップされた。長城汽車は発火した車両が欧拉R1であることを認め、原因について調査を開始したと報じられている(「新京報」8月13日)。欧拉R1は2018年12月に販売を開始し、1~7月の販売台数は1万9,758台となっている。

長城汽車は1984年に設立され、海外でもロシアに自社工場、日本に研究開発拠点などを有する。2018年における同社の自動車全体の販売台数は100万台を超え、SUV「哈弗」シリーズは9年連続で中国SUV市場の販売台数トップを維持している。

このほか、6月には上海蔚来汽車(NIO)が発火事故によるリコールを発表するなど(2019年7月10日記事参照)、2019年だけでも既に7件の発火事故が報じられている(表参照)。

表 2019年の主な新エネルギー車発火事故

(河野円洋)

(中国)

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