自動走行やEVへの消費者意識はメーカーと足並みそろわず、米JDパワーなど調査

(米国)

ニューヨーク発

2019年08月05日

米国の顧客満足度調査会社のJDパワーなどは7月30日、自動走行車(AV)と電気自動車(EV)への消費者信頼感に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(注)。同社が5,000人以上の対象者による投票結果を指数化し、0から40までを「低い」、41から60までを「中立」、61~100までを「肯定的」の3つに分類したところ、AVに対する信頼感指数は36で「低い」、EVは55の「中立」という結果になった。車両の自動化、電動化を進めるメーカーと消費者の足並みは、必ずしもそろっているわけではないことが明らかになった。

今回の結果に関し、JDパワーのドライバー・インタラクションとヒューマン・マシン・インターフェース調査部門のエグゼクティブ・ディレクターのクリスティン・コロッジ氏は「励みになる値ではない。メーカーが自動化や電動化を進める上で、消費者が同じ方向を向いているかを知るのは重要なことだ」と厳しい見方を示した。「まずは、消費者教育が重要だ。メーカーだけでなく、サプライヤーや政府機関、規制機関、保険会社、メディアなどのエコシステム全体で時間をかけて取り組むべき問題だ」とも述べた(「オートモーティブニュース」7月30日)。

AV技術への不安が浮き彫りに

調査結果を詳しくみると、AVの問題点に関する質問に対し、「技術的なエラーによる不具合」(71%)、「ハッキングの可能性」(57%)など、技術面での不安を挙げる回答が多く、次いで、「事故の際の責任の所在」(55%)など、法制度や保険制度の遅れを指摘する声も多く上がった(添付資料の図1参照)。こうしたことから、将来AVを購入あるいはリースする可能性が「全くない」と答えた回答は36%となり、「それほどない」の19%を合わせると55%と、半数以上が所有に積極的でないことが明らかとなった。また、回答者の66%はAVに関する知識が「ほとんどない」と答えたが、71%は「知識が豊富にあれば、購入・リースをする可能性は高まる」と考えており、AV普及に向け消費者教育が重要なことを裏付けた。

EV普及には充電設備とバッテリーの性能向上がカギ

EVの問題点として、64%が「充電設備の利用可能性」を挙げ、次いで、「1回充電当たりの走行距離」(59%)、「購入価格」(54%)、「充電時間」(51%)が続き、バッテリーにまつわる不安や高価格が購入を妨げる要因になることが分かった(添付資料の図2参照)。バッテリー関連では、7割以上の回答者が1回当たりの充電で300マイル(約480キロ)以上の走行を期待しており、また、200マイル(約320キロ)の充電にかかる待機時間は30分が限界だと回答した。こうした中、回答者の68%がEVの利用経験がなく、今後の購入あるいはリースする可能性に関しても「ある」と答えたのは25%にとどまった。一方で、大多数が環境に対するEVの肯定的な影響を評価しており、半数近くが燃費に利点を感じていることも分かった。

(注)調査用ソフトウエア会社のサーベイモンキーと専門家との合同で行われた(調査期間6月24日~7月2日)。AVに関する調査は5,749人、EVは5,270人が対象。今後、調査は四半期ごとに行われる予定。

(大原典子)

(米国)

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