米ニューヨーク州で初の自動走行車による乗客輸送サービスが開始

(米国)

ニューヨーク発

2019年08月08日

自動走行技術開発企業のオプティマス・ライドは8月6日、ニューヨーク市ブルックリン地区にある海軍造船所跡地「ブルックリン・ネイビーヤード(以下、BNY)」の敷地内で、自動走行車による乗客輸送サービスを行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、翌7日から開始した。同社プレスリリースによると、ニューヨーク州で初の取り組みとなる。オプティマス・ライドは、マサチューセッツ工科大学(MIT)から2015年に独立した、ボストンのスタートアップ企業。

今回の輸送サービスでは、6人乗りの電気自動車が利用される。完全な無人走行が可能だが、当面は控えのドライバーとソフトウエアのオペレーターが1人ずつ同乗する。6台の車両が午前7時から午後10時30分まで、ブルックリン地区への入り口であるフェリー乗り場と、敷地内にある主要ビルの間の1.1マイル(約1.8キロ)を片道5分かけて往復する。乗車料金は無料で、通勤者や旅行者など1日500人程度に利用される見込みだ。

BNYは、ニューヨーク州政府が再開発のための資金を集中的に投入するなどし、急速に開発が進む地域で、現在では400社以上の小規模製造業やテクノロジー系のスタートアップ企業などがビジネスを展開し、9,000人以上が働いている。

ニューヨーク州では、自動走行車の公道テストに際し、連邦自動車安全基準(FMVSS)や州の自動車および交通法など、一定の条件を満たした上で許可を得る必要がある(2017年6月26日記事参照)が、今回の走行エリアは私有地であるため、こうした手続きは必要ない。BNY開発公社のデビッド・エーレンバーグ社長兼最高経営責任者(CEO)は「(自動走行などの)新技術の実験場所として、これ以上の場所はない」と話す(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版8月6日)。

オプティマス・ライドの共同設立者であるライアン・チンCEOは、同社のシステムを多くの人が体験することで「新しい技術を信頼し受け入れるようになり、業界全体の発展につながることになるだろう」と、その効果に期待する。同社は今後、300エーカー(約1.2平方キロメートル)にわたる敷地内全域で、同様のサービスを展開することを検討している。

(大原典子)

(米国)

ビジネス短信 03b7afaf6a6451fc