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連邦参事会、電子投票導入の一時凍結を決定

(スイス)

ジュネーブ発

2019年07月12日

スイスの連邦参事会(内閣)は6月27日、電子投票の試験運用の在り方の見直しと本格導入の一時的な凍結を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ジュネーブ州によれば、欧州初の電子投票は2003年、同州にあるコミューンのアニエールで行われた。スイスでは電子投票プロジェクトが各州のイニシアチブにより進められ、2004年以降15州で300件を超える試行が行われてきた。スイスでは、投票所での投票に加えて、郵送による事前投票が広く認められているが、国外に居住するスイス人の数が増大する中(連邦外務省によると2018年時点で約76万人、人口の10.6%)、利便性の高い第3の投票手段の確保は重要な課題だ。

電子投票の本格化に向け、そのセキュリティーと信頼性を確保するためのシステム開発と検証手段の確保が必要となる。連邦参事会では、選挙における電子投票を可能とするための法整備について、2018年12月から国内コンサルテーションを行ってきており、その結果、19の州では電子投票を推進することについて賛成が得られたが、政党からは電子投票自体には賛成だが、本格的な導入には時期尚早との意見があった。6月26日の閣議では、これを受けて、現時点では電子投票を可能とする法整備は行わないとの結論になった。連邦参事会は同日、連邦大統領府に対し各州とともに、各州における電子投票プロジェクトの試行の在り方を2020年末までに再検討し、報告書として取りまとめるよう指示した。

電子投票の推進を一時的に凍結する理由として、最近になってスイスの電子投票システムについての課題が明らかになってきたことが挙げられる。スイスでは、ジュネーブ州政府が開発する「CHVote」とスイスポストが開発する「e-voting」の2つの電子投票システムの導入が進められてきた。ジュネーブ州は2018年11月に、開発費の高騰を理由に2020年2月以降のCHVoteシステムの運用中止を発表している。これに伴い、これまで同システムを使用してきたジュネーブ、アーガウ、ベルン、ルツェルンの各州において、電子投票の2019年10月の連邦議会選挙での採用を見送ることが、当地メディアで報じられている。本システムについては、2016年からGithub上でソースコードが公開されており、今後、他の公的団体や研究機関における開発継続が期待されている。

一方、スイスポストが開発してきたe-votingは、2019年2月と3月の公開テストにより、ソースコードに深刻な欠陥が見つかったことから、連邦大統領府は3月に、同システムに対する許可手続きを見直すことを発表している。スイスポストは7月5日、e-votingの開発を中断し、セキュリティーなどについて対外検証可能な新たな電子投票システムの開発に切り替えることを発表している。電子投票システムの推進は国際的にみても先進的な取り組みで、スイス当局の発表によると、現在、欧州で電子投票システムが運用されているのは、フィンランド、ノルウェー、エストニアに限られている。

連邦参事会は、10月に予定されている連邦議会選挙に電子投票を認めるかどうかを、8月に決定する予定だ。

(和田恭、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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