世界銀行がAP州新州都開発プロジェクトへの融資を中止

(インド)

チェンナイ発

2019年07月30日

世界銀行は7月21日、アンドラ・プラデシュ(AP)州の新州都アマラバティの開発プロジェクトへの融資を中止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。7月18日には、複数の地元紙が同行ウェブサイトのプロジェクト進捗情報が「取り止め(Dropped)」に変更されたことを報じていた。融資が中止になったのは、AP州新州都開発プロジェクトの一部を構成する「アマラバティ持続可能型インフラ開発プロジェクト(Amaravati Sustainable Infrastructure and Institutional Development Project)」で、世界銀行は同プロジェクトの事業費7億1,500万ドルのうち、3億ドルを融資することとなっていた。世界銀行は融資中止の理由を、「インド政府が同プロジェクトへの融資要請を撤回したため」としている。

AP州は、2014年6月のテランガナ州の分離独立により、これまで州都だったハイデラバードはテランガナ州に属することとなり、2024年までにAP州として新たな州都を設置することとなった。同州は、ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ前州首相の下、新州都を州中部の農村地帯に位置するアマラバティに決定し、開発プロジェクトを主導してきた。AP州都地域開発局(APCRDA)によると、新州都アマラバティの総面積は217平方キロになる予定で、人口は350万に達すると想定される。2050年までに350億ドルの域内総生産を目指している。

2019年4月から5月にかけて行われたAP州議会選挙では、ナイドゥ氏が率いるテルグ・デーサム党(TDP)がYSRコングレス(YSRCP)に大敗し、政権交代が起きた。足元では、選挙後に就任したYSRCPのY・S・ジャガンモハン・レッディ州首相が、前政権が締結した契約の見直しを行う調査委員会を立ち上げるなど、新州都開発プロジェクトの先行きは不透明な状況となっており、今回の世界銀行の融資中止は、プロジェクトの進捗などに大きな影響を与える可能性がある。

(坂根良平)

(インド)

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