クロアチアのユーロ導入準備に向けた見通しが明らかに

(クロアチア、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2019年07月12日

ユーロ・グループ(ユーロ圏財務相会合、ブリュッセル)は7月8日の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ユーロ導入をにらんだ欧州為替相場メカニズム(ERM II)への参加を要請するクロアチアの書簡を歓迎し、参加に向けた見通しを示した。

2020年半ばまでのERM II参加を目指す

ERM IIは、EU加盟国のうち、ユーロ未導入国の通貨とユーロとの間の為替相場を安定させるための仕組みで、参加は原則的に任意だが、ERM IIに2年以上参加していることがユーロ導入の要件となる。

クロアチア財務省と中央銀行は7月4日付で、ユーロ導入をにらんだERM II参加への意思を表明した書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を、ユーロ・グループなどに対して出していた。この書簡は、ERM IIへの参加に向けて、クロアチアが、欧州中央銀行(ECB)との協力による銀行監督の一層の強化、金融システムの安定化のための枠組み構築、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の枠組み構築などの取り組みを進めていく旨をコミットするものだ。同書簡にはまた、2020年半ばまでに欧州委員会とECBから、これらの施策の実施に対する肯定的な評価を得て、ERM IIと銀行同盟(注)に参加したい意向が記されている。

ユーロ・グループは7月8日の会合後に、クロアチアのERM II参加への見通しに関する声明を発表。クロアチアの書簡を歓迎するとともに、ECBとの銀行監督における協力開始と同時に、銀行の単一破綻処理メカニズム(SRM)に参加し、単一破綻処理基金(SRF)に資金拠出することとなると指摘。また、ERM II参加と同時に、ユーロの導入に向けたユーロ圏との経済の持続可能な収れんに向けたさらなる取り組みの開始を期待するとした。

なお、EUでは、ユーロ導入の適用除外を受けるデンマーク(ユーロ未導入だがERM IIには参加)と英国を除くと、ブルガリア、クロアチア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデンで自国通貨が流通している。2019年7月時点で、これらユーロ未導入7カ国でERM IIに参加している国はない。

(注)ユーロ導入国の銀行同盟への参加は義務。銀行同盟、SRM、SRFについてはジェトロ調査レポート「真の経済通貨同盟(EMU)に向けた作業の継続動向PDFファイル(772KB)」参照。

(村岡有)

(クロアチア、ユーロ圏)

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