ホーチミン市税関局、貿易円滑化の取り組みが進む

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年07月08日

ベトナムのホーチミン市税関局の貿易円滑化への取り組みが進んでいる。当局は、ワンタイム・ルーリング(注)の利用促進を指示する決定2153/QD-HQHCMを2018年8月公布したことなどから、ワンタイム・ルーリングを利用する企業が増えつつあるという。

ベトナムの輸出入通関手続きでは、税関が申告課税価格に疑義があるとする場合、税関当局と申告者の間で情報交換と追加書面提出を行う「課税価格のコンサルテーション」が行われている。ワンタイム・ルーリングとは、類似の品目などを再度輸入する場合、初回輸入時の課税価格のコンサルテーション結果を再利用できる制度だ。税関にとっても職員の価格審査における負担が減り、その分を新規企業やリスクの高い企業の検査に回せるため、メリットがあるという。

企業からは、専門検査完了直後に貨物が通関され、時間とコストの節約になるとして評価も高い。一方、ワンタイム・ルーリングの適用期間が初回申請時から60~90日と短く、適用期間の拡大のほか、ワインなど季節により価格が変動する貨物のために運用方法を緩和してほしいといった要望が出ている(「税関オンラインニュース」6月16日)。

ワンタイム・ルーリングの申請が可能な要件は、(1)(初回輸入時の)コンサルテーション結果が出ていて利用可能なこと、(2)同一または類似の品目であること、(3)課税価格の検査や決定のための情報またはデータが同じであることを満たす場合だ。

(注)関連する法令は、2018年4月20日付財政省通達39/2018/TT-BTC。同通達第1条14項で、通達38/2015/TT-BTC第25条(課税価格の検査)を修正・規定している。

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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