旅行業・観光業の骨子を定めた「観光法」を制定

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年07月24日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は7月18日、共和国法第549号「観光について」に署名、7月19日に公示した。同「観光法」は旅行・観光業界での政府の役割、旅行会社、オペレーター、ガイドなどの定義、旅行・観光業者および旅行客の権利、義務などを規定する。法律の施行は、公示から3カ月経過した10月20日からとなる。

法律は10章全45条で構成され、法律の目的をa.旅行者の権利、自由、正当な利益、安全を確保すること、b.観光産業の持続的発展、c.企業活動と競争促進に向けた政府支援、d.旅行分野の公開性確保とし(第4条)、観光産業を経済の「戦略産業」として育成する(第6条)こととしている。主管官庁は観光発展国家委員会となる(第8条)。

同法第5章「観光分野における活動の実施条件」によれば、新しく旅行業(ツアーオペレーター・旅行代理店その他事業者)に関し、ライセンス制度を導入する。ライセンスは無期限で有効。事業者は、住所・コンタクト先・ライセンスに関する情報などを公式ウェブサイトに記載する(第20条)。ツアーオペレーター、宿泊施設、スキー場、ビーチは、公的機関による認証を受ける必要があり(第21条)、個人が独立して行うガイド・引率業務についても、資格認定を受ける必要がある(第23条)。これらの認証・認定情報をまとめた観光業の統一登記簿が創設される(第24条)。

観光産業の振興に向けた税制支援も行われる。a.自由観光区、b.小観光区、c.特別観光区域の3種類の特区を創設し、同地域での観光分野の事業活動に対して税優遇を付与する。a.については「自由経済区」(注1)、b.は「小工業区」(注2)と同等の税優遇となり、観光資源の開発に特化する地域であるс.の税優遇の内容は今後、決定される(第18条)。

新しい関係者の協力の枠組みとして、a.政府、非営利組織、観光関連業者などが参加する「観光発展協力評議会」(第11条)、b.観光資源・産業に関する情報を提供する「観光情報センター」(第16条)、c.観光分野事業者団体(第32条)、d.ツアーオペレーター・旅行代理店団体(第33条)の創設が明記された。

このほか、ウズベキスタン国内での旅行者の安全は政府が確保すること(第35条)、ツアーオペレーター・旅行代理店は、旅行者に対して安全に関する情報(治安情報や現地治安機関情報、各国大使館・総領事館所在地情報など)を提供する義務を負うこと(第28条、第29条)などが記載されている。

ウズベキスタンでは、直近ではタックスフリー制度の導入が検討されるなど(2019年7月18日記事参照)、観光産業の進展に向けた政府内の作業が進んでいる。

(注1)土地税、企業利潤税、法人資産税などが免除される。詳細はジェトロの国・地域別情報参照のこと。

(注2)特定地域の小規模製造企業を対象に資産税、企業利潤税などが免除される制度。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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