人身取引などを禁じた強制労働条約の2014年議定書を批准

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年07月04日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は6月25日、大統領令第545号「1930年国際労働機関第29号条約の議定書(ジュネーブ、2014年6月11日)(注)の批准について」に署名、同国として正式に同議定書を批准した。

1930年の強制労働条約(第29号)は「処罰の脅威によって強制され、また、自らが任意に申し出たものでない全ての労働」(強制労働)を禁止している。今回、ウズベキスタンが批准した議定書は、同条約を人身取引などの現代の問題に対応させた議定書で、a.強制労働の禁止・使用の撤廃、被害者保護、補償などの救済を得る機会の提供、b.加害者の制裁に向けた実効的な措置、c.労働者(とりわけ移民労働者)の保護、d.国の政策や行動計画策定に際しての労使団体との協議、などを加盟国に対して求めている。

ウズベキスタンは既に強制労働条約(第29号)自体には加盟しており、1992年7月13日に発効済み。今回、議定書の批准に関しては下院で2019年6月13日、上院では6月21日に採択・通過している。

2017年9月に国連総会での演説で、ミルジヨエフ大統領が同国の主力産業の1つである綿産業での労働環境改善に言及して以降、ウズベキスタン政府は同分野での労働環境改善に意欲的に取り組んでいる。2019年3月25日には、米国労働省がウズベキスタン産綿(コットン)について「強制・契約児童労働により生産された製品」としての指定を解除(2019年4月4日記事参照)した。

今回の議定書の批准に関し、上院事務局は、国際的な法的枠組みの強化やILO、国際人権団体との前向きな協力はウズベキスタンのイメージを改善するとともに、労働環境改善に関する工業国での事例なども学ぶことができる、とコメントしている(インタファクス6月27日)。

(注)ILOでの正式名は「1930年の強制労働条約の2014年の議定書」で、ILOの第103回総会で採択され(2014年6月11日)、2016年11月9日に発効。1930年に採択された強制労働条約(第29号)を、人身取引などの現代の問題に対応できるよう補足・修正した内容になっている。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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