新関税法を制定、通関手続き迅速化へ

(コロンビア)

ボゴタ発

2019年07月23日

コロンビアで7月2日、新関税法(2019年法令第1165号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが官報公示された。8月2日から施行される。これまで貿易や関税に関する法令は、1999年法令第2685号、2016年法令第390号と第2147号、2018年法令第349号および第659号に分散して規定されており、解釈の複雑さが指摘されてきた。新関税法は、従来の法令を全部または一部を廃止し、分散していた規則を再構成して新たな規則を導入することで、全ての利用者の法的安全性を保障することを目的にしている。

輸出入手続きの迅速化も目指す。新関税法では、輸出入業者などが税関利用者としての登録申請をする際に必要とされてきた会社の登記簿原本の提出が不要となる。また、輸入申告と同時に関税の支払いが可能となるほか、輸出品の修理・整備のための再輸入の申請を別の管轄地区から行えるようにもなる。さらに、(1)一時的な民間保税倉庫(Depósito Privado Transitorio)の認可権限、(2)国際物流の公共保税倉庫(Depósito Público)の認可権限、(3)認可された場所以外での国際輸送貨物の受け入れ認可権限を国税庁の地方支部にも与え、これらの申請にかかっていた期間を短縮する。

産業界や専門家からは歓迎の声が上がっている。コロンビア産業連盟(ANDI)代表のブルース・マクマスター氏は「この進歩は貿易の円滑化とわが国の競争力向上を意味する」と述べ、新しい法制度周知への支援を表明した(「ラ・レプブリカ」紙7月4日)。また、ブリガルド・ウルティア法律事務所のパートナー弁護士ホセ・フランシスコ・マフラ氏は、7月16日に開催された新関税法に関するセミナーで「貿易に携わる全ての事業者に対し、法的安全性を保障する唯一の法令を制定した政府のイニシアチブを評価する」と語った。

世界銀行が発表したDoing Business 2019によると、コロンビアで輸入許可が出るまでの所要時間は112時間(約4.7日)となっている。中南米平均の61.9時間(約2.6日)の約2倍、OECD加盟国平均の12.5時間と比べると約9倍も長い。また、輸出にかかるコストは630ドルで、中南米平均(529.8ドル)、OECD加盟国平均(139.1ドル)を大きく上回る。新関税法の細則が今後導入される。利用者の法的安全性の保障に加え、手続きの迅速化やコスト軽減が期待される。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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