米国、自動車燃料へのバイオ燃料添加に関する2020年規制案を公表

(米国)

シカゴ発

2019年07月30日

米国環境保護庁(EPA)は、2020年のガソリンに添加するバイオ燃料と、2021年の軽油に添加するバイオディーゼルの最低使用義務量に関する政府案を公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、2019年7月17日官報に掲載した。7月31日に予定されている公聴会などの手続きを経て、11月末までに最終規則を決定する(注)。

今回EPAより提案された2020年のバイオ燃料の最低使用義務量は前年比0.6%増の年間200億4,000万ガロン(1ガロン=約3.8リットル)で、米国の石油販売業者は、ガソリンおよび軽油に対して体積比で10.9%のバイオ燃料を添加することが義務付けられる(表参照)。EPA提案におけるバイオ燃料の使用義務量は、2007年のエネルギー独立安全保障法(Energy Independence and Security Act of 2007、以下「EISA2007」)において定められた2020年の法定基準値である300億ガロンの約3分の2の水準にとどまっているが、これは非食用有機原料を使って生産するセルロース・エタノールの商業化が想定どおりに進んでいないことが原因だ。セルロース・エタノールの使用義務量は、今回の基準案で前年比約3割増の年間5億4,000万ガロンとされたが、それでもEISA2007による2020年目標値105億ガロンの20分の1の水準にしかすぎない。なお、2018年11月に最終規則化された2019年のバイオ燃料の最低使用義務量が、EISA2007によって定められた法定基準値を2割以上下回ったため、EPAはEISA2007の規定により2022年までの法定義務量を別途、見直すと発表した。

表 米国における再生可能燃料基準(下線部はEPAによる提案段階)

セルロース・エタノールの使用義務量引き上げにより、先進型バイオ燃料とバイオ燃料合計の年間使用義務量はそれぞれ前年比1億2,000万ガロン増加したが、EISA2007で設定された法定義務量に達しているバイオディーゼルや先進型以外のバイオ燃料(トウモロコシ由来のエタノールなど)に関する年間使用義務量は、前年と同数量に据え置かれた。

(注)再生可能燃料(いわゆるバイオ燃料)については、大気浄化法(Clean Air Act)によって輸送用燃料への添加が求められており、EISA2007において2022年までの再生可能燃料の最低使用義務量が定められている。一方で、輸送用燃料の需要見通しやバイオ燃料の生産予測などを考慮して翌年(バイオディーゼルについては翌々年)の法定義務量を下方修正できる権限が、EPAに対して与えられている。

(上村真)

(米国)

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