マクロン大統領がセルビアを訪問、22の覚書締結

(セルビア、フランス)

ウィーン発

2019年07月24日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が7月15、16日、セルビアを公式訪問した。フランス大統領がセルビアを公式訪問するのは、「ユーゴスラビア連邦共和国(セルビアとモンテネグロで構成)時代の2001年に当時のジャック・シラク大統領が訪問して以来18年ぶりで、2019年はセルビアとの国交樹立180周年にも当たる。

フランスのバンシ・エアポートが2018年に運営権を得たニコラ・テスラ・ベオグラード国際空港でアレクサンダル・ブチッチ・セルビア大統領の出迎えを受けたマクロン大統領は、同空港の近代化事業開始の記念式典に参列した後、ベオグラード市内のセルビア宮殿で、アナ・ブルナビッチ首相と関係閣僚、ゾラン・ラドイチッチ・ベオグラード市長ら出席の下、さまざまな分野に関する22件の覚書を締結した。

主なものとして、戦略的パートナシップ協定案件として、ベオグラード市地下鉄建設プロジェクトへの協力表明、ベオグラード上下水道公社とフランスのベオリアの下水処理システム、ボイボディナ自治州とアクオ・エナジー(AKUO ENERGY)、IELエナジーのセルビア子会社(IEL OIE BALKAN RENEWABLE ENERGY)間では風力発電開発への協力表明、プロパルコ(PROPARCO)とアクオ・エナジーによる地熱発電開発、スエズグループや伊藤忠などが出資するベオ・クリーン・エネルギー」とベオグラード市集中暖房施設との間の熱エネルギー売買契約、MBDA製地対空ミサイルの購入と技術協力、送電事業者RTEとセルビアの送電事業公社EMC(エレクトロムレージャ・セルビア)の事業協力、シュナイダー・エレクトリックとベオグラード大学電気工学部、ノビ・サド大学科学技術部の協力体制などがある。

ベオグラード市地下鉄建設に関しては、既にフランスのエジスグループ(EGIS GROUP)によるフィジビリティー・スタディーが完了している。セルビアは中国の中国電力建設(パワーチャイナ)とも戦略的パートナシップ協定を締結していることから、今後、フランス側と中国側、セルビア側で調整が行われるもようだ。

ベオグラード下水処理システムについても、既に中国とセルビア間で戦略的パートナシップ協定を締結しており、今後、3者間で何らかの調整が行われると考えられる。

セルビアのフランス商工会議所の話では、現在、セルビアで約120社のフランス企業が活動し、1万人以上を雇用しているという。また、セルビア国立銀行の統計によると、2018年のセルビアへの外国直接投資(ネット、フロー)は、バンシ・エアポートによるベオグラード空港の経営権取得などがあったことから、フランスが7億1,100万ユーロで1位となっている。

(鈴木秀男)

(セルビア、フランス)

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