大統領予備選挙に向け、野党フェルナンデス候補が主要政策を明らかに

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年07月31日

8月11日に行われるアルゼンチン大統領選挙の予備選挙(PASO)を目前に控え、選挙戦は現職で中道右派のマウリシオ・マクリ氏と、野党候補で中道左派のアルベルト・フェルナンデス元首相の2人の争いになりそうだ。

7月28日付の現地紙「ラ・ナシオン」は、マクリ大統領とフェルナンデス候補の主要政策を比較する記事を掲載した。労働改革や年金改革、税制改革、中絶問題、IMFとの協定見直し、為替政策や外国為替市場の規則変更、インフレ対策などが挙げられた(添付資料参照)。

注目されるのは、これまで曖昧だったフェルナンデス候補のスタンスが見えてきたことだ。例えば労働改革では、改革そのものよりも、労働者の実質給与確保による消費喚起の必要性を指摘している。年金改革では、年金生活者の権利が損なわれることを危惧して、制度をより手厚くし、購買力の回復を訴えている。7月28日に放送されたインターネット番組で同候補は、大統領選挙に勝利すれば、現政権によって目減りしたとされる20%分の年金を引き上げると発言した。その財源には金融機関などが購入するLELIQ(期間7日間の短期中央銀行債)の利払い分を充てるとした。一方、マクリ大統領は、IMFからの融資に関する合意や税制改革の推進など現政権下で実施した政策をアピールしながら、中央銀行の独立性を維持しつつ景気回復に向けて中央銀行を側面支援することや、労働法改革の必要性などを訴えている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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