トランプ米大統領、グアテマラへの関税賦課などを検討

(米国、グアテマラ)

ニューヨーク発

2019年07月25日

トランプ大統領は7月23日、自身のツイッターを通じて、米国への不法移民対策に非協力的な判断をしたことを理由に、グアテマラに対して「『禁止』、関税、送金手数料、あるいはその全てを課すことを検討している」ことを明らかにした。なお現時点では、ホワイトハウスや米国通商代表部(USTR)からは本件に関する発表はされておらず、詳しい措置の内容は不明だ。

米国を目指す不法移民対策への協力取り消しが原因

グアテマラは、米国への難民申請者を受け入れる取り決め、いわゆる「安全な第三国」となることについて、モラレス大統領が訪米してトランプ大統領と合意文書に署名を行う予定になっていた。しかし、グアテマラの憲法裁判所が先週、仮の差し止め命令を下したことを受けて、モラレス大統領は訪米を取りやめた。トランプ大統領はこの経緯から、グアテマラへの制裁措置を示唆した。ちなみに、トランプ大統領は5月末に、メキシコに対しても不法移民の流入を理由に、同国からの輸入品全てに対して追加関税を課す案を発表したことがある(注)。

モラレス大統領は7月23日、自身のフェイスブックを通じて、「憲法裁判所は外交関係について理解せず、その権限もないまま国益に反する態度を取った」と、裁判所の判断を批判している。

制裁措置発動の場合は、グアテマラ経済に大きな影響

米国政権が検討している措置の詳細は不明だが、まず、在米のグアテマラ国民から本国への送金に手数料が課された場合、グアテマラ経済に打撃となる恐れがある。IMFのレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、グアテマラの2017年のGDPの11%を海外からの送金が占めており、そのほとんどが米国からとなっている。

また、米国とグアテマラとの間では、米国と中米5カ国およびドミニカ共和国の自由貿易協定(CAFTA-DR)が2006年7月に発効しており、グアテマラにとって、米国は輸出入ともに全体の3割以上を占める最大の貿易相手国となっている。こうした中、米国が追加関税を賦課した場合、その範囲と規模にもよるが、グアテマラの対米輸出への影響は不可避となる。

(注)現時点では、米国とメキシコ間の交渉結果およびそれを踏まえたメキシコ側の不法移民対策の進捗をもって、米国による追加関税は無期限の延期となっている(2019年6月10日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、グアテマラ)

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