風車ブレードのリサイクル推進のため、異業種連携プラットフォーム立ち上げ

(EU)

ブリュッセル発

2019年07月05日

欧州化学工業連盟(Cefic)は7月3日、欧州風力協会(ウインド・ヨーロッパ)および欧州複合材料産業協会(EuCIA)とともに、風力発電用の風車ブレードのリサイクルを推進するための、業種横断的なプラットフォームを立ち上げるとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

川上から川下までつなぐ新しい異業種連携の意義

声明によると、2018年のEU域内の電力供給に占める風力発電のシェアは14%で、13万基の風車が稼働している。風車のブレードは、発電効率を高めるため軽量化・大型化が不可欠で、これに適した複合素材が採用されている。現在、風力発電分野で使用されている複合素材は250万トンにも及ぶという。

しかし、今後の5年間で、耐用年数を過ぎた約1万2,000基の風車が撤去・処分される見通しで、風力発電産業とその周辺産業にとって、これらのリサイクルの選択肢を広げることが大きな課題となっている。ウインド・ヨーロッパのジャイルス・ディクソン最高経営責任者(CEO)は「第1世代の風車は既に商品寿命を迎えつつあるが、老朽化したブレードのリサイクルはわれわれにとって最優先課題の1つだ」と指摘する。この課題解決のためには、ブレードに利用される複合素材のメーカーやその原料を生産する化学メーカーとの提携が最も効率的な対応、というのがウインド・ヨーロッパの見立てだ。

また、Ceficのマルコ・メンシンク事務局長は「化学産業は、新素材開発のための投資により、循環型経済への移行に決定的な役割を担っている。これらの新素材は、風車ブレードをリサイクル可能で信頼でき、より低価格にするもの」「イノベーションは協力・連携から生まれる」と今後の異業種連携の意義を強調した。

(前田篤穂)

(EU)

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